The Nostalgic World presented by Mrs. Ishii

石井美千子 作品集

第8  しかられて

 いたずらっ子が先生にしかられている。真ん中と左の子は、手を頭にやって、いかにも申し訳なさそうな格好をしているが、しかられながら先生に見えないように何か後ろで手渡ししている。子どもは意外とずるいのである。
 私も、まあ大人しい方ではあったが、こういう時代があった。しかられると、本当にこわかった先生もいた。中学校の時など、若い女先生を皆でからかったりした。授業がはじまる時間の直前に、クラス一番のワルが教室のドアの上のところに白墨まみれの黒板消しを挟み、皆で固唾を飲んで女先生の入ってくるのを待ったことがある。先生は、ドアにちょっと手をかけただけで気づき、笑って中に入ってきたが、あれがもし先生の頭に当たっていたら、どうなっていたのだろう。あの元気な先生はお元気だろうか。



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