悠々人生エッセイ



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 日光への旅( 写 真 )は、こちらから。


 9月も半ばになるというのに、連日32度から33度の猛暑の日々が続いている。平日に暇ができたので、東武鉄道の最新の特急列車、スペーシアXに乗って、日光に行くことにした。午前9時発に乗ろうとしたら、もう満席である。その前の8時発も、窓側があと一席という混雑ぶりで、驚いた。コロナの期間に外出できなかったせいの、リベンジ旅行なのかもしれない。



 北千住駅で待っていると、スペーシアXが入線してきた。先頭のラウンジ車両の窓が「X」になっているところにこだわりがある。乗ってみると、まだ車両が新しいだけに、快適そのものだ。

 東武日光駅から緩い登り坂を上がっていく。道の両側にはたくさんのお店が、、、と言いたいところだが、残念なことに年々寂れていくのが有り有りというところである。それでも我慢して写真を撮りつつ登っていく。左手に堂々と聳える日本風の建物は、日光の市役所だったから、恐れ入る。



 やっと、神橋(しんきょう)にたどり着いた。入場料を払って中に入り、橋を渡る。その時、中東風の顔をしたお兄さんに、写真を撮ってくれと言われた。そこで、上流に向けてとか、橋のたもとをバックにとか、色々な方向で撮ってあげた。すると話しかけてきて、「自分はイスラエルから来た。私のいるところは、こんな所だ」と言って、砂漠の中にいる写真を見せられた。どこを見ても砂、砂、砂ばかりの世界に私がびっくりしていると、「だから、こんな日本の清流と木々の緑を見ると、心が洗われるようだ」と言う。




 私が「文字通り、砂漠の国から来たのなら、こういう高い木々や綺麗な水が流れる川は貴重なんだね。ところで、日光東照宮の『見ざる、聞かざる、言わざる』は見たの?」と聞くと、耳や口や目を押さえる仕草をして「あれは有名だから、今から見に行く」というので、「そうしてください。あの三猿は、封建時代のものなので、言論の自由などないから、庶民にとってあれが一番、安全な生き方だったんです。まるで、今のロシアみたいだ」というと、苦笑していた。





 日光東照宮に着き、三猿の建物(神厩舎)を通り過ぎて陽明門をくぐった。この前にある中国風彫刻が、精緻で美しい。一つ一つ見ると、楽器をかき鳴らしているのもあれば、碁や将棋のような盤を囲んでいるのもあり、表情が生き生きとしている。左甚五郎の眠り猫を見て、本殿を参拝したところで、修学旅行の小中学生に囲まれたので、早々に退散してきた。



 帰りは、金谷ホテルで、のんびりとコース料理を食べてきた。色んな料理が少しずつ味わえて、美味しい。これこそ、旅行の楽しみと言えよう。






 日光への旅 2023年(写 真)








(令和5年9月14日著)
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