1.令和4年を迎える。年賀状は、これまでは年の瀬にバタバタと作成というパターンが多かった。勤めていたからやむを得ないという面もあったが、今年こそはその轍を踏まずにゆっくり作ろうと考えた。 出したい年賀状の数は305枚だが、それから喪中につきという葉書が来た方の分を除き、前年は喪中だった方の分をまた戻して、まあ毎年300枚と少しというところである。それから、家内の友達宛の分を入れれば、310枚となる。 私の年賀状の文面は、前年の私のホームページの冒頭を飾った写真から4点を選んで、それを2枚ずつ並べる。真ん中に「謹賀新年」という赤い文字を配し、その下に、出す相手に応じた文章を書く。下地の色は水色(#ccffff)だ。これを見て、「毎年、美しい年賀状を送っていただいて」と感謝の言葉をいただくこともあり、それは嬉しい。 この年賀状を作る手順は、先ず、年賀状ソフトで宛先を全部印刷し、しかる後に、各宛先毎に文面を作るというものである。これがまあ、実に大変な仕事で、その人とその年に具体的な交流や思い出があればそれはそれで書くことがあるから良いのだけれども、そうではない時はついつい通り一遍の挨拶程度になる。これではいけないなぁと思うのだけども、仕方がない。 2.しかし、この調子でずーっと毎年300枚も印刷を続けていくのも、サステイナブルではないなと思うようになった。私の受け取る年賀状にも、「もう歳だから止める」とか、「電子メールに変える」とか、ボツボツ目立つようになった。すると、私も葉書スタイルは、もはや潮時かなと思いはじめた。特に私は、自分のホームページ「悠々人生」があるので、年賀状代わりの電子メール中に「それを見ていただければ、私の近況がわかる」という趣旨のことを書いておこう。そうだ、年賀状内に「悠々人生」のアドレスを、QRコード化したものを入れておこう。そうすると、アクセスしやすい。 ただ、中には電子メールのアドレスどころか、携帯電話すら持たない人がおられる。「まるで石器時代人だ」と思い、つい笑ってしまう。しかし、紙の葉書を突然止めてしまうということは、そういう人と没交渉となることを意味するので、それはよろしくない。そのほとんどが、私より年上の人ばかりだ。困ったものだ・・・と考えた末、原則は電子メールとするが、例外的に年上の人やメールアドレスを知らない人には、従来通り葉書の年賀状で行くことにした。 すると、ざっと見たところ、300枚余り中、電子メールに置き換えられそうなのは、ほぼ半分だ・・・減らないものだなぁと思うが、まあ、仕方がない。徐々に電子化していけばよい。永久に出来ないかもしれないかもしれないけれど・・・。というわけで、その方針で、おのおのの人宛ての文面を作り始めることにした。 3.そういう方針で、数日間パソコンにかじりついて悪戦苦闘し、12月20日になって、ようやく準備万端が整った。さて、後は印刷するだけと思って、プリンターを動かした。ところが、アレアレ、宛先を2枚、印刷しただけで、へなへなと止まってしまった。どうやら「 fatal error 」つまり致命的なエラーだ。回復させるべく色々とやってみたが、あぁーっ。ダメだ。そう言えば、昨年の年賀状印刷も、なかなかスムーズに行かなくて、色々とやってみて、要は騙し騙し動かして、何とか全部の印刷を終えたことを思い出した。 このプリンターは、「キヤノン ピクサス iP100」という機種である。2008年の発売で、確かその翌年に買ったから、もう12年も使ったのか・・・コンパクトで使いやすく、十分働いてくれたが、この期に及んで遂に力が尽きたか・・・などと思ったものの、年賀状の差し出し期限が5日後の25日に迫っている。のんびり修理に出している暇はない。いやはや、これは困った。どうしようかなどと考えている時間そのものが勿体ない。アマゾンで注文しよう。 4.「キヤノン プリンター」で検索する。そうすると、やたらと「あと1台」とか、「あと5台」とか、あるいは「お届けは2月」などと出てくる。これは、一体どうしたのか・・・アマゾンといえば、翌日か翌々日には持ってくるというのに・・・と考えて調べてみると、最近の半導体不足が影を落としているらしい。これは良いと思ったものが、納期は来年2月だって?・・・それでは間に合わないではないか。そう言えば、ソニーのミラーレスカメラのα7シリーズも、人気機種のα7Cが生産停止に追い込まれているみたいだ。困ったものだ。 そういうわけで、こうなったら早く持ってきてくれるものがないものかと思い、製造年やコンパクトさなどにはこだわらずに探した。そうすると、「キヤノン TS7430」という機種があった。正式には「Canon プリンター A4インクジェット複合機 PIXUS TS7430 ホワイト 2020年モデル」という。これなら、2日後に持ってきてくれる。A4の写真印刷もコピーもできる。26,044円だ。よし、これにしよう。6,065円の純正インクセットとともに注文した。12月20日夜の注文なので、22日の午前には配達される。すると、印刷期間として2日半を充てる余裕がある。 まだかまだかと待っていたら、翌日になって、配達が1日遅れるというメールが入った。困ったが、致命的な問題ではない。1日半で終えるように頑張れば良いだけだ。とはいえ、その前に、使い慣れていないプリンターのセットアップをしなければならない。面倒だが、事ここに至った以上、やってみるしかない。 5.次の日の午前中、私がテニスをしている最中に家にプリンターが届けられた。帰ってきて箱を開け、電源を入れ、インクカートリッジを取り付ける。インクタンクが5個もある。用紙をセットした。あれれ、プリンターケーブルは要らないようだ。代わりにWiFiを通じてルーター経由で接続するようだ。やってみると、接続用のパスワードが求められた。それを探して打ち込む。おお、動き出した。A4の紙を入れて、試し印刷をしてみる。良し、出てきた印刷パターンには全く問題がない。 年賀状ソフトの「筆まめ」を印刷するモードにして印刷を試してみたら、動き出した。このプリンターは、40枚を一度に印刷できるようだ。葉書は厚いので、最初は半分の20枚にしてみたら、サクサクっと動いて表書きが次々に出てきた。ズレていない。これは良いと思い、作業を進めていって、そのまま全部の印刷を終えた。 さて次は、文面の印刷だ。これは各人ごとに異なるので面倒だ。時間は、2日間しかない。宛先を確かめて葉書をセットし、それに合わせてかねて作ってあった文面を印刷していく。その文面も合わせて、ようやく300枚全部の印刷を終えたのが、24日の夕方である。郵便局の締切日は25日なので、それに間に合うギリギリのタイミングだ。そのまま郵便ポストに入れに行った。 6.次は、家内の分だ。毎年これは、キヤノンの年賀状サイトから写真用の「穴あき」データを取得して、それに写真をはめ込むことにしている。今年は、孫たちの七五三の写真を入れることにした。はめ込んでみると、なかなか可愛いものが出来た。よし、これで行こう。家内に、宛先をチェックしてもらう。 宛先を印刷しようとして、念のため忌中葉書をチェックしていくと、親ばかりでなく、兄妹、それどころか旦那さんまで亡くなっているケースがあった。あの方、未亡人になってしまったかと、粛然とする。旦那さんは私とほぼ同い年で、やはり霞ヶ関勤めだったが、新型コロナウイルス騒ぎで人と会う機会がほとんどないので、何の話も噂も聞こえて来なかった。せめてお悔やみの言葉でもかけられたらと思うが、こんな調子では明日は我が身かもしれない。 そんなことで、家内の分も代わりに印刷して、やっと出来上がった。その25日は土曜日だったので、本郷郵便局まで歩いて出しに行った。これで、今年最後の仕事が、ようやく終わった。めでたしめでたし。さて、来年に向けて、アドレスを整理する仕事が残っている。 7.そうこうしているうちに、年が明け、年賀状がどさりと届けられた。一つひとつ文面を見ていくと、単なる挨拶しか印刷されていないものもあれば、手書きで、生活ぶり、仕事ぶり、身の振り方、時代を憂えることなど、色々なことが書かれている。これがまた、人生のあらゆる局面の話が載っていて、大いに参考になるし、実に面白い。例えば、次のごとくである。 【生活ぶり】 ◎ 正月等は京都に在住 ◎ 杖なくば初詣もままならず ◎ 巣籠もり生活で読書三昧です。 ◎ 医者通いをする以外はステイ・ホーム ◎ 本年は夫婦ともに70歳台最後の年です。 ◎ コロナのおかげで家にこもりきりの1年でした。 ◎ 相変わらず週1日の出勤と週4日のテニスです。 ◎ 喜寿の年を迎えた。有難くもあり、有難くもなし。 ◎ 我が家の庭のピエール・ドウ・ローサール(薔薇の花) ◎ コロナ禍で都内に出掛けることも少なくなっています。 ◎ お互いに健康長寿を目指しましょう。私も卒寿を越しました。 ◎ 毎日 散歩と買い物のほかに、仲間と吹き矢をやっております。 ◎ 11月に結婚50周年でお伊勢参りをしてきました。あなたの ところも? ◎ コロナの制約の下、少々早い気もしますが、就活準備に入った 思いです。 ◎ 法曹のエッセイ(21年9月号)を楽しく拝読させていただき ました。 ◎ 日常生活やテニスで皆様の温かい支えに助けられています。 日々感謝、感謝です。 ◎ 義母が百歳で他界。百歳ともなると田舎の親戚たちも晴れ晴れ とした感じでした。 ◎ 10月にギックリ腰をやりました。痛みはとれましたが、今年 もそこそこ頑張ります。 ◎ 人間ドッグの度にガタがでますが、近代医学のおかげで元気に 後期高齢になれそうです。 ◎ 自分史の作成終わった。読書、趣味の深堀り、旅行等に加えて 懸案の故郷の家の活用計画に着手 ◎ 二人とも、テレワークやらZoomでのピアノレッスンやら、音楽、 落語に出向き、たまにはテニス ◎ 遠くよりマスクを外す笑み晴れやか(富安風生)早くこんな風景 を見たいです。何とか健康にしています ◎ 外出の頻度もやや増え活動的な姿勢を取り戻しつつあるものの、 まだまだ重心を後ろに残しているというところでしょうか。 ◎ 昨年さしたる感慨もなく古希を迎えましたが、その一方で5歳、 3歳の孫二人の成長には驚きと眩しさを感じたところです。 ◎ ここ2年ほどコロナに苦しめられ生活のパターンが大きく変化し ました。新しい年の展開に期待します。お元気でお過ごしください。 ◎ 今年は72歳の年男。昨年は叙勲をいただき、人生の節目に辿り 着いた気持ちです。これもひとえに妻のお陰です。これからは彼女 とともに百歳を目指します。 ◎ 昨年も新型コロナウイルスの感染拡大が続き自粛生活を強いられ ましたが、幸い病気も怪我もせずに元気で過ごすことができました。 相変わらず近隣の散歩などで何とか体力の維持を図っております。 ◎ 大腸がんは術後6年。定期検査で直腸がんを早期発見し、9月手術 8日間で退院。定検の大切さを実感するとともに我が身のしぶとさに 感謝のこの頃。 ◎ 視力の衰えが歳相応に表れてきました。目の酷使を和らげようと 最近ではほとんどテレビを見なくなりました。仕事に疲れると机に 向かったまま目を閉じ、ラジオやYouTubeで短編小説の朗読を聞く ことが多くなりました。1時間にも満たない時空間のなか、思いも つかない筋出てで思わず熱い涙誘われるような心温まる物語を展開 する作家の構想力と筆力に感嘆します。物書きとしては心弾まない 法律家という職業に慨嘆しています。 【仕事ぶり】 ◎ 今は現場で頑張っております ◎ 大学の仕事をのんびりとやっております。 ◎ 数十年続けてきた海外出張が昨年はゼロに。 ◎ 私もそろそろ店仕舞いかなと考えております。 ◎ パーティはやれませんが写真展は今年もやります。 ◎ 社外取締役や顧問などストレス・フリーの生活を過ごしています ◎ 昨年春から那覇勤務コロナ禍なりに沖縄生活を楽しんでおります ◎ 大学では対面授業が再開され、久々に大教室の雰囲気を味わって います。 ◎ 個人事業主になり日程もフレキシブルを増したので、旅を楽しん でいます。 ◎ ボランティアで某学会の理事をしていますが、会合が全てZoomで つまらない。 ◎ 協会を退職しました。人生百年、どうする?とりあえず体力作り と雑学に勤しんでいます。 ◎ 弁護士として20年余の新春、また当総合法律事務所の開設から 満1年を無事経過し、新事務所で初めての新春を迎えました。 ◎ 念願の法制70年史の刊行が昨年1月に実現し、多くの公立や 大学の図書館が蔵書にしてくれました。今年は6回目の年男です。 ◎ 本大学学長に就任して3年目。昨年は職域接種をし、対面授業 を続け、外部の方も入れて大学祭を開催 コロナ感染者はゼロです。 ◎ 昨年は銃刀法改正に携わり、国会の回しなど良い勉強をさせて いただきました。引き続き前向きな仕事をし、若手に面白みを感じ させてあげたいと思います。 【身の振り方】 ◎ 昨年7月に本省を退職。弁護士資格の認定を受けた。 ◎ 退官後「孫管理業」に就きまして、楽しく過ごしております。 ◎ 昨年弁護士資格認定研修を受け、本年3月に弁護士登録の予定。 ◎ いつの間にか一番古手になってしまいましたが、あと半年で定年 です。 ◎ 昨夏、長年勤めた役所を退官しました。毎日マイペースでやって おります。 【再会願望】 ◎ 今年こそまたお会いしたいですね。 ◎ オミクロン株が出てきたのでまた春にかけて波ができるのかも しれませんが、落ち着いたらまたリアルで会をやりたいですね。 【時代を憂える】 ◎ 時代のますますの難しさを思う日々です ◎ 益々ご活躍のことと存じます。カーボンゼロ社会、中国の台頭、 米国の地盤沈下 むずかしい世の中です。 ◎ 元ウルグアイ大統領ホセ・ムヒカの言葉「貧しい人というのは、 ものを持っていない人のことではない。真に貧しい人というのは、 際限なくものを欲しがり永遠に満たされない人のことである。」 ◎ 新感染症、天変地異、ばら撒き財政、中国・ロシアの動向、加えて 自分の加齢、等々、先行き不安はあれど、自分では如何ともし難いの で、せめて努力可能な健康管理に気を付けて、静かに過ごすことと しています。 ◎ 昨年は、大谷翔平のMVP、松山英樹のマスターズ、笹生優花の 全米オープン等々、日本の若者の世界的な活躍がありました。他方 国内経済の30年余りの停滞は残念でした。 【悠々人生】 ◎ お蔭さまで元気でおります。ホームページ拝見しております。 ◎ 「悠々人生」の法隆寺のエッセイ、子供の頃に両親と行った思い 出がよみがえり、とても行ってみたくなりました。 【困った葉書】 ◎退官して3年目、これを機に皆様への年賀状は控えさせていただきます。今後は、電話とメールでのご連絡を賜りたく・・・と書かれているのだが、その割には、電話番号もメールアドレスもこの年賀葉書にはどこにも掲載されていない。 私が役所や裁判所の現役で、とりわけ年末年始が忙しかった頃には、いただいた年賀状をじっくりと読む時間も惜しかったものだ。ところが、こうして些細に読む時間と心の余裕が出来てみると 、これは至福のひとときだ。高校や大学には同窓会があるが、この年賀状を通じたやり取りは、まるで私設の同窓会のようなものだと思えてくる。 8.それでは来年のために年賀状ソフトから、電子メールを送る方々のリストをピックアップしていこう。要は、メールアドレスをお持ちの方で、それが年賀状に書かれている方々だ。 作業してみると、300枚中、電子メール化できるのは、160枚であることが分かった。全体の53%である。たまたま、東洋経済オンラインに、こんな記事があった。「日本郵便の発表によると、今年の当初発行枚数は18億2536万枚で、昨年より1億1662万枚減。ピーク時の2003年44億5936万枚から約6割も減ったほか、11年連続で減少する右肩下がりの状況」(2021年12月19日付け)。私の削減率は5割だから、日本全体の傾向と平仄が合っていると、納得できる気分になった。 では、来年に出す年賀状としてどんなものを作ろうか。試しに今年の年賀状を題材にして、作ってみた。次のようなものだが、パソコンの画面は横長なのに、これは紙の年賀状をそのまま引き写したことから縦長になってしまった。だから、やや見にくい。来年は横長にして、文字部分をもっと大きくとろうと考えている。そうなると「悠々人生」の表紙を飾った前年の写真の数を現行の4枚から6枚に増やして、その記事へのリンクを本文に貼っておこう。せっかく紙の葉書形式をやめて電子メール形式にするのだから、メールの特性を活かした年賀状にすることにしよう。 あとは、この年賀状メールをどう送るかだ。まず、メールを作成した後に、1月1日の午前0時過ぎに、Outlookの「オプション」→「配信タイミング」→「指定日時以降に配信」で送るつもりだ。その時間に、パソコンを立ち上げておく必要があるが、これは忘れないようにしておきたい。 メールのBCCで全員のアドレスを書いておき、自分から自分あてに送る方法もある。しかしそれでは、アドレス欄があふれてしまうし、そもそも誰あてなのか、判別しにくい。そこで、悠々人生で使っている接続業者(ロリポップ)のメーリングリストを使うことにした。これだと、メールアドレスはABC順になるが、漢字で宛先の名前がわかるので、便利である。その準備もして、無事に160人分のリストへの登録を終えた。「受信のみ、参加確認なし」にすることがポイントである。 さて、来る1年間は、どうなるだろうか。新型コロナウイルス禍は収まるか、家内は大丈夫か、孫たちはすくすくと育っているか、故郷の老人ホームにいる母のみならず妹たちとその家族に会いに行けるか、私はどこに旅行に行けるのか、「年賀状同窓会」の皆さんは元気か、私の人生初の仲人による結婚は実を結ぶかなど、年頭に当たり、思うことは多い。いずれにせよ、引き続き不確実な世の中だが、家族や皆様とともに、今年も前を向いて楽しく過ごしていきたい。 (令和4年1月1日著) (お願い 著作権法の観点から無断での転載や引用はご遠慮ください。) |
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