1.新型コロナ緊急事態再宣言 昨2020年秋頃から新型コロナウイルスの第3波が襲ってきて、文字通り猖獗を極めるようになった。そこで東京都の小池百合子知事など1都3県の知事の申入れに政府がしぶしぶ押される形で、1月7日から緊急事態宣言が再び発令されるに至った。去年春の第1回目の緊急事態宣言の時と同じような重苦しい雰囲気となってきた。特に東京などでは医療崩壊が始まりつつあり、手当てをしてもらえずに放っておかれて死亡する人も出てきた。 それだけの緊急事態だというのに、政府が経済活動への影響を慮ってか、この再宣言の内容がいかにも中途半端なのである。曰く、「 @ 不要不急の外出・移動自粛の要請、A 催物(イベント等)の開催制限(5000人を上限・収容率は半分以下)、B 飲食店に対する営業時間の短縮(午後8時まで、酒類の提供は午前11時から午後7時までとする。)、C 職場出勤者数の7割削減など」である。これでは、短期間の終息など望むべくもない。あとは、自衛あるのみだ。 前回の初宣言のときは、外を歩いていてもその辺の空中に新型コロナウイルスがいくつも飛んでいて、自分もいつ何時罹るかもしれないと思い、外出するのも嫌な気がしたものである。それに対して今回は、数々の事例から、少し賢くなった。要は「他人に近寄らなければ罹らない」という確信に近いものがある。だからその分だけ、気は楽だ。そういう意味でいうと、私の場合、オフィスは全面的に出社禁止だから問題ないとして、要注意個所は、買い物に行くスーパーやコンビニ、テニスコート、テニス更衣室、その行き帰りの地下鉄車内だ。そういう所では、できるだけ人との距離をとり、近づいてもできれば5分内に済ませることにしている。ああ、もう一つあった。病み上がりの家内の病院通いの付き添いがある。月に1回だけだが、考えてみれば、時間が長いし場所が場所だけに、これが最も危ない。しかし家内とは運命共同体なので、こればかりは仕方がない。でも、長く待ちそうな時は、近くのホテルに退避することにしている。それから、強いて言えば、エレベーターの行き先ボタンなど不特定多数の人が触れそうなものについても、自分の指では直接触らないようにするのが安全だ・・・。 というようなことを考えている内に、1月の三連休最後の11日を迎えた。朝早く起きてしまったから、日課となっている「新聞のデジタル切抜き」がはかどり、午前10時頃にはもう終わった。どこか近くで人のいない「安全な」催し物はないかと考えていたら、「上野東照宮の冬ぼたん」のことを思い出した。この「悠々人生」の記録を見ると、10年前の2011年に行ったのが最後だ。では、「逆張り」のようなもので、こういうときには誰もいないだろうと思って、行くことにした。 2.上野東照宮の冬ぼたん 「牡丹には二期咲き(早春と初冬)の性質を持つ品種があり、このうち冬咲きのものが寒牡丹と呼ばれています。 寒牡丹の花は自然環境に大きく左右され、着花率が低く、2割以下といわれています。そこで、花の少ない冬にお正月の縁起花として抑制栽培の技術を駆使して開花させたものが冬牡丹です。春夏に寒冷地で開花を抑制、秋に温度調整し冬に備えるという作業に丸2年を費やし、厳寒に楚々とした可憐な花をつけます。 苑内には150株の冬牡丹の他に、大切に育てた寒牡丹もございます。また、ロウバイ、満作、早咲きの梅などの花木も苑内に彩りを添えています。 霜よけの藁囲いに包まれて咲く冬の牡丹をどうぞごゆっくりとご鑑賞下さい。」 これを読んでいて、「冬牡丹」、「寒牡丹」、「冬の牡丹」の3つの概念が混在していて、それらがどう使い分けられているのか説明がないので、何のことやらさっぱり理解できない。もう一つ、「春夏に寒冷地で開花を抑制、秋に温度調整し冬に備える」というと、丸1年のはずだけれど、それがなぜ「丸2年」になるのか、それも理解不能だ。もう少し、一般人にわかるように説明してほしい。 10年前の説明では、「昭和55年に日中友好を記念して開園しました。当初は上海、洛陽植物園から寄贈された中国牡丹を中心に70品種でした」などと歴史が書かれていたが、今回はそれがない。尖閣諸島への中国の不当な圧力などから、嫌中感情が国民の間に広がっているからだろう。 自宅から上野動物園の縁を通って五條天神社脇の階段を上がると、もう上野東照宮である。20分もかからずに行けるので有難い。ぼたん苑は午前10時から開園している。入り口に発券機があって、それで700円を支払ってチケットを購入すると、そこのボックスにいた巫女さんがそれをいったん引き取って、紫色の牡丹のハンコを押してくれる。なんだか、丁寧すぎる感がする。新型コロナウイルス禍の中、巫女さんとお客を相互にウイルスに晒すようで、よろしくないのではないだろうか。 「葉ぼたん」があちこちにあるが、これも、ぼたんには違いない。赤い実をつけた「万両」も見かける。しばらく行くと、短歌が長い板に書き付けてある。例えば、こんな風だ。 白妙の珠の緒を解き寒牡丹 (松浦孤舟) 一ひらを開きとどまる寒牡丹 (武田澄江) 雪を得て更に力の寒牡丹 (滝 幸江) 崩るるを拒みつづけて寒牡丹 (木村静子) 被せ藁にかくれんぼしており寒牡丹 午後からは八重の人垣冬ぼたん(上島多勢乃) ひらききり冬の捨て身の白牡丹(木村英子) 3.テニスの特別レッスン それで、午前中は終わって、家に帰ってきた。家内と二人で、いつもの喫茶店へ昼食に行く。昨春の緊急事態宣言以来、出入口に近い風通しのよい場所に座ることにしている。コロナ対策の換気は十分だが、ちょっと寒い。しかし、コロナに罹るよりはマシだと思って、いつもそこを定位置にしている。 午後3時頃から、いつもの室内テニス場に特別レッスンを受けに行った。この日は祝日なので、普通レッスンはお休みで、その代わりにテーマを決めた特別レッスンがある。何種類かのレッスンがあるのだけれども、私の申込みが遅れて4日前になってしまった。だから、たった一つのレッスン枠しか空きがなかった。それは、「ドライブを活用しよう」というものである。実は私は、ドライブ・ボールが得意で、これしかできないくらいだから、本当はスライスを教えてほしいくらいなのだが、どういうわけかスライスを専門に教えるレッスンは見たことがない。仕方がないので、この日は、それに申し込んだ。 行ってみると、かつて相手をしてくれたコーチが出てきて、参加者は6人。うち1人だけ女性である。他の男性のうち1人は私のよく知っている人で、あとは比較的若い。だから、プレーが荒っぽい。ここで「荒っぽい」というのは、例えば追い込まれた時とか、打ちにくい球を打つ時などに力任せに大振りするので、大抵の時はホームランとなる。こういう人は練習の時には相手しにくいが、試合になると自分で崩れてくれるから御しやすい。 練習が始まった。コーチは、ラケットを「車のワイパーのように振れ」という。なるほど、これはわかりやすい。ただ、片手バックハンドの時にもそうすると、うまくできない。コーチは両手バックハンドだから、お手本を示せない。それで結局、打った直後に右方向に大きく振り上げることにした。すると、まあまあのドライブのかかった球が打てた。でも、バックハンドはやはりスライスが楽だ。 ひとしきり練習をやり、最後にダブルスの試合をした。並んでいる順にたまたま組んだ相棒が守備範囲の広い人で、チャンスと思えば2人で前に出て平行陣を作ってくれるし、打たれやすい中央も守ってくる。だから、非常にやりやすくて、8試合中負けたのがわずか1試合と、常勝街道を走って気分よく終わった。ここで、自分の得意なボールが3つあることを確認した。第1は、ストレートをダウン・ザ・ラインに打ち抜くこと。特に、相手の前衛が油断している時に有効。第2は、ショート・クロスに打たれたら、ドライブの効いた球で同じくショート・クロスに打ち返すこと。そのためには、最初のショート・クロスの球に追いつく必要がある。第3は、離れて打ち合っている時に、相手のバックにドライブの効いた高く跳ねる球を打ち込むこと。これは、相手がなかなかとれない球になる。 そういうわけで、普通の打ち合いでは、我ながらまあまあの及第点がとれていると思っている。ところが、私が下手なのはサーブで、これが安定しない。ごく稀に目が覚めるようなサーブがあるのだけれども、大抵がまず入れようとして力のない遅いサーブになってしまう。これだと、相手が上手なプレーヤーだと簡単にショート・クロスに打ち込まれて、一巻の終わりとなる。これだけが自分のウィーク・ポイントである。これを克服することが、今年の年頭の目標だ。 (令和3年1月11日著) (お願い 著作権法の観点から無断での転載や引用はご遠慮ください。) |
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