日本橋に、先月末にアートアクアリウム美術館が開業した。そういえば、かねてより日本橋界隈でアートアクアリウムと題する催しが開催されていて、私も2018年に行ったことがある。とりわけ今は、新型コロナウイルスで、おいそれとは遠出できない。でも日本橋なら自宅に近いので、気晴らしに行ってみようかという気になった。それでも、感染のリスクを出来るだけ低くするため、夏休み明けの平日のお昼過ぎの時間に行くことにした。 このアートアクアリウム自体は、2007年に始められて、それ以来、東京を拠点に、京都、金沢、熊本、イタリアのミラノ、中国の上海など世界各地で14年間に1000万人が見物したそうだ。当初から「日本の美しい『和の心』を伝えたいと『ジャポニズム』にこだわる展示を続けた」という(木村秀智氏)。それで、「美しくどこか儚い金魚の舞 生身の演者が目の前で舞う躍動、 五日ごとに変わる季節に自然を感じ身を委ねる この場でしか感じることのできない生命のダイナミズムが、忘れかけていた日本の美意識を思い出させる」ということなのだそうだ。 やはり、金魚は白い容器に入れて緑の金魚藻を配し、のんびりと泳がせて、それを上から眺めるのが一番だ。その点からすれば、この展示方法は全くの邪道であるが、この美術館の基本コンセプトだから、簡単には改められないだろう。もっとも、改めてしまったら、日本の旧来の金魚展と変わらなくなってしまうので、難しいところである。 【後日談1】展示中の金魚に病気の報道 私が見に行ったのは9月2日だったが、8日のJ−CASTニュースその他のニュースサイトで、「来場者や金魚の愛好家から、生体管理への疑問の声が相次いでいる」として、「来場者から金魚の状態を心配する声がSNS上で複数投稿された・・・体表が白い斑点でおおわれ病気の疑いがあったり、水面に浮かんだまま動かなくなったりする生体の写真・動画も拡散し、管理体制を問題視する声が続出している。」と報道された。これに対して主催者は「お見苦しい瞬間をお見せしました・・・重度の病気の魚は、隔離水槽に移して別途対応しております」などと説明している。しかし、見苦しいなどという問題ではなく、私も含めた愛好家としては、単に「魚に愛情をもって接していただきたい」だけである。改善されるというが、それが本当であることを祈ろう。 【後日談2】突然の閉館の知らせ 昨年9月に、私はアートアクアリウムを見に行ったのであるが、それから約1年後の今年9月11日、このようなメールが突然舞い込んできた。 「いつもアートアクアリウム美術館をご愛顧頂きありがとうございます。アートアクアリウム美術館(東京/日本橋)は9月26日(日)をもちまして、閉館することと致しました。これまでお越しいただいたお客様に心より感謝申し上げます。」 これはまた急な・・・わずか1年では元が取れないだろうという気がする。ところで、アートアクアリウム美術館本体のHPでは、この閉館について次のような説明がされていた。 アートアクアリウム美術館(東京/日本橋)リニューアル移転のため2021年9月26日(日)に閉館 いつもアートアクアリウムをご愛顧頂きありがとうございます。 アートアクアリウム美術館は2022年上半期にリニューアル移転を予定しております。 新しい演出と作品の準備期間に入るため、現在の日本橋・アートアクアリウム美術館は2021年9月26日(日)をもって閉館することをお知らせいたします。これまでご来館頂いた皆様と、多くの関係者の皆様に心より御礼申し上げます。 作家・総合プロデューサー木村英智が手掛けるアートアクアリウム美術館は、規模も過去最大で、初披露となる新作の数々や体験エリアの追加と全てがグレードアップしました。来館者数はこの厳しいコロナ禍においても、年間40万人近くの方にご来場頂いております。さらに、文化庁開催の「日本博」では、日本の美意識を国内外へ発信する現代アートとして認可・支援を受けました。 日本橋アートアクアリウム美術館は、2020年東京でのオリンピック・パラリンピック開催にあたり、国内のみならず海外からも多くの方が観戦に訪れることから、アートアクアリウムを通じて日本が誇る伝統芸能や文化を手軽に知っていただく場となるようにオープンいたしました。しかし、コロナによる外出の制限、また海外旅行客の受け入れができない状況が長く続きました。そんな中でも、多くの方にご来場いただきましたが、このたびオリンピック・パラリンピックの閉幕を節目に、新たなアートアクアリウムの移転準備に向けて閉館いたします。 (令和2年9月2日・9日記、同3年9月12日追加) (お願い 著作権法の観点から無断での転載や引用はご遠慮ください。) |
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