悠々人生エッセイ



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1.レンズの取替えが面倒に

(1)α7IIIの従来のレンズ構成

 私が持つソニーのカメラ(α7III。フルサイズ)の従来のレンズ構成は、次の通りである。

(1) 広 角レンズ:ソニー ズームレンズ Vario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA OSS(SEL1635Z)
                    【質量518g ・長さ98.5mm】
(2) 標 準レンズ:タムロン 28-75mm F/2.8 Di III RXD(Model A036)
                    【質量550g・長さ117.8mm】
(3) 超望遠レンズ:ソニー ズームレンズ FE 70-300mm F4.5-5.6 G OSS(SEL70200G)
                    【質量840g ・長さ175mm】

 それで、広大な風景を撮りたいときには、「(1) 広角レンズ」と「(2) 標準レンズ」を持って行く。遠目の風景を撮りたいときには、「(2) 標準レンズ」と「(3) 超望遠レンズ」、そのどちらでもないときには、「(2) 標準レンズ」だけと決めていた。ところが、カメラ【質量650g】+「標準レンズ」だけでも質量合計が1,200gとなり、そのうえ更に質量518g又は840gの替えレンズを持って回るのは、かさばる上に、重たく感じるようになった。せっかく一眼レフからミラーレス一眼に替えて、カメラ本体はコンパクト(約139.0(幅)×104.3(高さ)×78.5(奥行)mmから約126.9(幅) x 95.6(高さ) x 73.7(奥行き)mmへ)で少しは軽くなった(755gから650g)というのに、これでは元の木阿弥だ。


(2)タムロン 16-300mm (APS-C)の万能レンズは良かった

 思い出すのは、このソニーのカメラ(α7III)を持つ前に愛用していたキヤノンのカメラ(EOS70D)に付けたタムロン 16-300mm F/3.5-6.3 DiII VC PZD(Model B016E)APS-C専用【質量540g・長さ99.5mm】のことである。これは軽くて、取りまわしがしやすく、かつ16mmの広角端から18.8倍に相当する超望遠端まで撮ることができる優れたレンズで、もうこれ一本でどんな場面でも間に合う。しかも、短くて軽い。なんと言ってもレンズ交換の手間がない。いったんこのレンズを使い始めると、これほど楽なことはないと感ずるので、どこへ行って何を撮ってくるのも、この組み合わせであった。ただ、惜しむらくはフルサイズ用ではなく、APS-C専用だったことだ。

 それと同じようなソニー純正レンズ(Eマウント・フルサイズ用)はないかと探すと、FE 24-240mm F3.5-6.3 OSSというのがあったが、240mmとは中途半端だし、質量780gと重く、定価も15万円近くもするのでやめた。望遠端がその倍のFE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSSもあるが、定価も倍の29万円、質量が1,395gで、三脚が必要というから、これもまた素人の私には合わない。そういうことで、FE 70-300mm F4.5-5.6 G OSSを買った。定価は16万円、質量840g。これも遠くを撮るときに重宝して良いのだが、場面に応じてレンズを替えなければならないのは一眼レフというものの宿命にしても、私も歳を重ねたし、そろそろ面倒になった。


(3)首に二つぶら下げるつもり

 あまりにもレンズの取替えが面倒なものだから、場合によっては、同じソニーのカメラ(α7RIII)をもう一つ買って、首に二つぶら下げようかと真剣に考えたほどである。実はこのアイデアは、今年の2月初めに台湾に行ったときにやってみた。つまりソニーのカメラ(α7III)+標準レンズのタムロン28-75mm F/2.8 Di III RXDの組合せと、キヤノンのカメラEOS70D+タムロン 16-300mm F/3.5-6.3 DiII VC PZDの組合せとを揃えて、首にその二つを左右へぶら下げたのだ。

 これで、レンズ取替えの必要はなくなり、撮影対象に直ぐにレンズを向けられ、持ち運びもまあ可能だということが分かった。つまり、左右対称にバツ印に肩掛けをしておけば、私は首が強いので、そんなに苦にならなかったのである。でも、夏の暑い時はたまらないし、冬の寒い時も御免だ。


(4)フルサイズの新しい超望遠レンズ

タムロン28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD (Model A071)


 そういうとき、タムロンからソニーのEマウント・フルサイズ用の新しい超望遠レンズが6月末に発売されると聞いた。それが28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD (Model A071) である。質量575g・長さ117mmというから、標準レンズの質量550g・長さ117.8mmとほぼ変わらない。これなら、今カメラバッグとして使用中の半肩掛けバッグに引き続き入れられるし、使い回しにも慣れている大きさだ。それに、何といっても価格がソニー純正レンズの半分の7万円台だから手軽に買える。ソニーのカメラ(α7RIII)をもう一つ買うお金の4分の1だ・・・ということで、ネット通販サイトで購入した。いや、まだ発売前なので、正確には予約したのである。6月29日の発売と聞いていたが、26日にはもう届けられた。

(参 考)タムロン28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD (Model A071) の説明


2.実際に撮ってみる

(1)不忍池で試し撮り

 そこで、翌27日、このタムロン28-200mmを持って近くの不忍池に、蓮の花を撮りに行った。池の周囲には、たくさんの紫陽花が満開である。まずは、それを撮ってみた。広角端28mmでは最短撮影距離0.19m、望遠端200mmでは最短撮影距離0.8mという。なるほど、広角端では相当近付ける。手前の紫陽花に焦点を合わせると、背景が綺麗にボケる。うん、これは良い。カンナでも同じく背景のボケが美しい。

不忍池の紫陽花


不忍池の紫陽花


不忍池の紫陽花


不忍池のカンナ


 そうやって撮っていて、クローズアップが終わって少し遠い被写体を撮ろうとしたところ、あれ、合焦していないのにシャッターがおりる。もちろん、写真は全部がボケてしまう。これは不都合だ。フォーカス機構がおかしいのかと思って帰宅してインターネットを見ると、同じような感想が書かれていた。どうやら、「AF−S時にクローズアップから無限遠へ移動する際、明らかにピントが外れている状態で合焦する場合がそれなりの頻度で発生するのが気になりました。AF−Cの常用がおススメ」(とるならさん)とのこと。やはりそうか。このレンズの癖のようにものだろう。そのうちアップデートで直してくれることを期待しよう(後日談を参照のこと)。それ以外は、支障なく撮影ができている。

不忍池を蓮の葉が埋め尽くす


不忍池の蓮の花


不忍池の蓮の花


不忍池の蓮の花


 蓮池の中で、遠くにある蓮の花を撮る時はもちろん200mmの望遠端でフォーカスを合わせるのであるが、スムーズに合焦し、撮ることができる。レンズを軽くするためか、レンズ側には光学的補正機構はないそうだが、それでも特に支障がなく撮れた。蓮の花はまだ咲き始めで、中には大きな蓮の葉の下に隠れて咲いている花もあるが、それに焦点を合わせても明るく撮ることができる。前のタムロン 16-300mm (APS-C)では、おそらく、こうはいかなかった。もちろん、望遠端が大きく違うから当たり前だが、このタムロン28-200mmは、望遠端でも明るい。200mmで、池の中の鴨を撮ってみた。まあ問題なく撮れている。

不忍池中の鴨


 ちなみにF値の変動は、前述の「とるならさん」によると、次のようになっている。その他、特に気になることはなかった。

  F2.8-F16:28〜31mm
  F3.2-F18:32〜43mm
  F3.5-F20:44〜54mm
  F4.0-F22:55〜79mm
  F4.5-F25:80〜116mm
  F5.0-F29:117〜150mm
  F5.6-F32:151〜200mm



(2)板橋区立熱帯環境植物館

 翌28日は日曜日だ。しかも朝からあいにく大雨の天気となっている。本来なら遠出して望遠端でのクローズアップを試してみたいところだが、残念ながら叶わない。それに、新型コロナウイルスの影響もあって、電車で長距離を移動する気は、まだ起こらない。こういうときには、室内に限る。そういうことで、板橋区立熱帯環境植物館に行ってみることにした。室内で植物も魚も撮ることができる。

 自宅から東京メトロ千代田線で大手町に行き、都営に乗り換えて高島平まで行く。車内はガラガラだ。駅に降り立つと、幸い雨が小降りになってきた。その中を8分ほど歩き、目的地に到着した。学齢期前の小さなお子さん連れの家族ばかりだが、あまり混んでいない。

水槽の魚


 さて、まず水槽の中の魚を撮るとき、従来のと比べてフォーカスがやや遅い気がする。また、広角端から急に望遠端に持っていくと、もうどうしてフォーカスして良いやらわからない様子なので、段階的に焦点を合わせていくべきだと学習した。どちらかというと、広角端の方が合焦は早い。まあ、焦点距離が短いということもあるのだろう。だから、望遠端でフォーカスを合わせようと時間を使うより、さっさと広角端にして近づいていった方が早い。

水槽の魚


水槽の魚


 それにしても、動物のようにチョコチョコ動くものに焦点を合わせるのには、やはり標準レンズ『タムロン 28-75mm F/2.8 Di III RXD)の方が良い。それでも、この超望遠レンズは、広角端の方が望遠端より焦点が早く合う。列車を撮る時の「流し撮り」のように、魚の動きと合わせてカメラを動かすと、なかなか面白い写真が撮れた。

イクソーラ(サンタンカ)


ヘリコニア


アンスリウム


 今は盛りの植物としては、赤い小さな花が密集する「イクソーラ(サンタンカ)」、赤と黄と緑の極楽鳥のような「ヘリコニア」、赤い仏炎苞の端っこから上に突き出た白い紐がある「アンスリウム」、そして折しもハイビスカスが咲く季節だ。このハイビスカスの花は実に華やかで優美そのものだから、私は熱帯地方にいた時から大好きである。鉢植えも、熱帯植物としては、かなり長く持つ。

ハイビスカス


ゲンペイカズラ


プルメリア


 植物の方は動かないからフォーカスは別に急がないので、それよりボケが綺麗に出るか、また光のボケが丸いか六角かに興味があった。このうち、まず、ボケはなかなか綺麗だと思う。それに、光は丸く玉ボケになる。これも、なかなか良い。また、ゲンペイカズラのような細かい花も撮れた。しかも花から突き出ている細くて儚げな緑色の棒も、ちゃんと写っている。プルメリアも、この花特有の優しい感じがよく出ている。かくして、新しく購入したこの超望遠レンズは、十分に及第点だと思う。

コロナビール


 ところで、この植物館には「喫茶室クレア」があり、簡単なマレー・インドネシア料理やタイ料理が食べられる。お昼に、ナシゴレン(マレー風チャーハン)を注文し、ふと見ると「コロナ」という飲み物がある。「これはソフトドリンクか、それともビールか」と聞くと、「コロナ」という銘柄のビールだと言う。私は滅多に酒は飲まないのだけど、この新型コロナウイルス事件でコロナには痛めつけられたので、少し溜飲が下がるかもしれないと思って注文した。すると、メキシコ産のビールで、アンハイザー・ブッシュ・インペブ ジャパンが輸入したとある。ここで思い出した。メキシコのビール大手グルポ・モデロ社が、4月5日に「コロナビール」をはじめとする同社製品の生産を一時的に停止すると発表した。感染拡大を受けての措置だというが、その商標がゆえの風評被害もあったらしい。冷やされたレモンとともに飲んでみたが、クアーズのような「薄味」のビールだった。なるほど、これにはレモンが必要だ。



 板橋区立熱帯環境植物館( 写 真 )は、こちらから。






【後日談 1】メーカーがアップデートを告知

 このレンズのメーカーのタムロンは、そのサポート情報に次の告知をした。2020年7月10日付けである。これは、AF−S時に合焦の問題が発生していることをメーカー自身が認めたものだ。それならそれで「まれに」なんて言うなと文句を付けたくなるが、それはさておき、アップデートを待ってみるか。それまでは、AF−Cにしてやり過ごそう。

「平素はタムロン製品をご愛用いただき、誠にありがとうございます。このたび、弊社レンズ28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD (Model A071) ソニーEマウント用において、以下の不具合現象が発生することを確認いたしましたので、ご案内申し上げます。

【現象】AF−S時、まれに合焦していないにもかかわらず合焦マークが点灯し、AF動作が停止してしまう。

 現在対策検討を進めており、ファームウェアアップデートにて対応の予定です。なお、ファームウェアアップデートは、ファームウェアアップ対応のソニー ミラーレスカメラから実行可能です。詳細につきましては、近日中に「サポート情報」ページでご案内させていただきます。また、タムロン・レンズライフ・メンバーズへご登録いただき、メールマガジンをご希望されているお客様には詳細がわかり次第、メールマガジンにてお知らせいたします。

 お客様には、対応ファームウェアのリリースまで、ご不便をおかけすることを心よりお詫び申し上げます。」





【後日談 2】アップデートを実施

 タムロンから8月6日付けのメールが届き、7日から最新ファームウェア Ver.2へのアップデートの準備が整ったという。ソニーのカメラ(α7III)にこのレンズ28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD (Model A071) を装着し、カメラを通じてアップデートができるとのこと。そこで、教えられた手順通りに作業をしたところ、わずか1分もかからないで終了した。

 注意すべきポイントは、@カメラとパソコンをソニーα7付属の専用ケーブルで繋ぐこと、Aカメラ内のスロットにあるメモリーをあらかじめ抜いておくこと、B満充電されたソニーα7専用のバッテリーを入れておくこと、Cカメラボディの「メニュー」から「セットアップ」を選択し「USB接続」の設定が「マスストレージ」になっていることを確認することである。

 早速、フォーカスモードをAF−CからAF−Sに戻し、手近なものを撮ってみたが、問題なかった。それでは、明日はこれを抱えて、どこかへ撮りに行くこととしよう。




【後日談 3】メーカーから別の不具合の連絡

 つい2ヶ月前にメーカーのタムロンから不具合のメールが来て、対応したばかりというのに、次の通り、また別の不具合の連絡があった。しかし、私はカメラについては専ら手持ち派で、滅多に長時間露光などはしないので、この不具合には気が付かなかった。でも、レンズもここまで高性能になると、色々とあるものだ。アップデートの連絡を待とう。

 「このたび、弊社レンズ28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD(Model A071)ソニーEマウント用において、以下の不具合現象が発生することを確認いたしましたので、ご案内申し上げます。

【現象】 星空や夜景撮影時などの長時間露光の際、画面右端にノイズが発生することがある。

 現在対策を進めており、ファームウェアアップデートにて対応の予定です。なお、ファームウェアアップデートは、ファームウェアアップ対応のソニーミラーレスカメラから実行可能です。

 詳細につきましては、後日「サポート情報」ページでご案内させていただきます。」


 ・・・ということで、メーカーからのファームウェアアップデートの連絡を待っていたところ、11月10日に「星空や夜景撮影時などの長時間露光の際、画面右端にノイズが発生する現象を改善します」というメールが来たので、直ぐにアップデートを行った。  








(令和2年6月28日著。7月11日と8月8日、そして10月1日追加)
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