悠々人生・邯鄲の夢エッセイ



バービー人形型カメラ




 カメラと写真の見本市( 写 真 )は、こちらから。


1.ミラーレス一眼の大変革

 パシフィコ横浜で開催された「CP+(シーピープラス)2019」に行ってきた。これは、「カメラと写真映像のワールド・プレミア・ショー」というもので、そのHPによれば、「“スマホで十分”な方から、プロフォトグラファーまで。シーピープラスは“写真のある生活”を送るすべてのかたが、カメラと写真の楽しみ方をあらゆる角度で体感できる総合イベントです。目玉の製品展示をはじめとして、ためになるセミナーや楽しいイベント、参加型写真展や写真集販売、中古カメラやフォトアクセサリーの販売など、パシフィコ横浜と大さん橋ホールの2会場で、もりだくさんの4日間です。」という。


キヤノンEOS70Dとタムロンのレンズ


 私は、普段はAPSーC仕様のデジタル一眼レフカメラ(キヤノンEOS70D)を持ち歩いて、このHP(悠々人生)に載せる写真を撮っている。これとタムロンのレンズ(16−300mm。APS−C専用)の組合せは非常に具合が良くて、レンズの取り替えをすることなく、広角端(16mm)でも望遠端(300mm)でも、夜間などの撮影条件の悪い時でも、何でも撮ることができる。それでいて、撮ったものを多少引き伸ばしても、それなりに見られる写真となる。

オリンパス・ペンE−P3


 そういうことで、「あと少なくとも数年は、この組合せで趣味の写真を撮っていくのも良いな。」と思っているのだけれど、かつてのパソコンと同じで、デジタルカメラの技術進歩は著しい。どんどん素晴らしい製品が出てきている。振り返ってみると、私は、平成21年6月に、その当時のミラーレス一眼カメラの走りだった「オリンパス・ペンE−P1」を買い、それから同23年8月に「オリンパス・ペンE−P3」に乗り換え、更に25年9月に現在のキヤノンEOS70Dにたどり着いた。それ以来、5年4ヶ月の間、現在のカメラとレンズで撮り続けている。何でも新しいものに飛びつく癖のある私にしては、これは相当に長い期間だ。つまりは、それだけ気に入っているからだが、強いて言えば、歳をとるに連れてカメラとレンズが重たく感じられるようになった。それに、タムロンのレンズとの組合せが良くないのか、特に望遠端でピントが合うのが遅いという気になる点もある。

 この間、ミラーレス一眼の世界には大変革が起こった。当初は、パナソニック(ブランド名は「ルミックス」)とオリンパスが画像素子(センサー)の小型の規格(「マイクロフォーサーズ」規格)を提唱した。平成20年8月のことで、その翌年に私が買ったオリンパス・ペンE−P1は、このタイプである。ソニーは、このマイクロフォーサーズ陣営には加わらずに独自路線を貫き、それよりも画像素子が大きいAPS−Cサイズのミラーレス一眼を発表し、じわじわと普通のデジタル一眼レフを追い上げてきた。ちなみに、それまで一般的だったデジタル一眼レフとミラーレス一眼との差は、カメラの中に撮りたい被写体を反射させる「レフ(鏡)」があるかどうか、つまりミラーボックスと光学式ファインダーを持つか持たないかという点で、これらを持たないミラーレス一眼の方が、より小型で、かつ軽くなる。ところが、じかに被写体が見られる一眼レフの場合と違ってミラーレスの場合はファインダーにその被写体が映るのに若干のタイムラグがあることと、フルサイズの画像素子を持つものがない
(注)というのが最大の欠点で、これらがプロには使ってもらえない理由だった。

(注)画像素子の面積の比較

 画像素子(センサー)の面積は、コンパクトデジカメ(1/2.3)を1とすると、マイクロフォーサーズは7.8、APS−Cは12.8、フルサイズは20である。もちろん、この値が大きいほど、綺麗な写真が撮れるという理屈である(レンズや画像エンジンの性能にもよるが、それは捨象する。)。


 しかし、それをブレイク・スルーしたメーカーが現れた。ソニーである。あの小さなミラーレス一眼のボディーに、フルサイズの画像素子を載せたのである。しかもファインダーのタイムラグを短くしたようだ。その製品が、今から5年前に発売された「α7(アルファ・セブン)」だった。価格も、うろ覚えだが、確かボディーだけで当初50万円くらいはしたと思う。その性能と値段にビックリしたことを覚えている。そうこうしているうちに、どんどんと性能が上がり、現在では第三世代の「α9」となっている。1秒間に20枚も連写でき、合焦速度は早く、かつ(両目ではなく)片目にピントを合わせられるという驚きの性能だ。

 ところが、デジタル一眼レフの2大メーカーであるキヤノンとニコンは、この急速に進化するミラーレスの様子を見ながら、ここ数年間は音無の構えだった。おそらく、ミラーレスのフルサイズを発売したりすると、既存のデジタル一眼レフ市場と共食いになってしまうことを懸念したのであろう。しかし、デジタル一眼レフの売上が落ち始め、ミラーレスがどんどん伸びてくると、そうも言って居れなくなった。そこでキヤノンとニコンの2社は、昨年(平成30年)秋に相次いで、フルサイズのミラーレスの発売に踏み切った。これにより、消費者としては、商品選択の幅が広がって、これは面白くなったといえる。


2.CP+2019の模様

 いわば前置きが長くなったが、私がCP+(シーピープラス)2019に行こうという気になったのは、かくしてようやく出揃ったソニー、キヤノン、ニコンの3社のフルサイズのミラーレス一眼を実際に手に取り、気に入ったものがあれば買おうかという気持ちになったからである。そういうことで、我が家から千代田線に乗って明治神宮前駅で副都心線に乗り換え、そのまま、直通運転で、みなとみらい駅に到着した。同駅から、パシフィコ横浜までは、歩いて数分だ。

 建物の中に入ると、まず、リコーの全天球カメラ(THETE)のブースがあった。人がかなり並んでいたが、私は未だ触ったことがないので興味が湧き、ふと入ろうとすると、既にこのカメラの旧型を持っている人だけが対象だという。これは逆で、むしろ私のようにこのカメラに未だ触ったことがない人を対象とすべきである。旧型を持っている人は、放っておいても関心を持つのは当然だから、それ以外の人を対象にしないと顧客の裾野が広がらないと思うが、どうだろうか。

 次にあったのが、タムロンのブースである。私のキヤノンのカメラにはタムロンのレンズを付けているから、今度は堂々と入ることができると思ったら、誰でも自由に入ることができて、しかも目の前のモデルさんを自由自在に撮ることができると知って、拍子抜けした。モデルさんの周りには、多くのカメラが置いてあってその全てにタムロンのレンズが付けてあり、入場者はそれを手に取ってモデルさんを撮れる。自分のSDカードを持ち込めば、その撮った写真を持ち帰ることができるという趣向である。


タムロンのモデルさん


 実は、その時に渡されたパンフレットに、大いに気がそそられるレンズが載っていた。それは、18−400mm(F/3.5-6.3 Di II VC HLD)である。「世界発の18mmから400mmまでをカバーする超望遠高倍率ズームで、望遠側400mmは35mm版換算で620mm相当の超望遠撮影となる」という。掲載されている写真によると、18mmの時では豆粒のような大きさの人物が、400mmの時は画面一杯に広がっている。これは凄い。私は今持っている16−300mmのレンズを初めて付けた時に大いに感動したものだが、その時と全く同じような感覚だ。つまりはその上位版というわけである。希望小売価格は9万円だから、ボディーだけで約40万円のソニーα9よりはるかに安い。

ソニーα9


 どうしようかと迷うところだが、結局は、その人がどんな被写体を撮りたいのか、そしてその撮った写真をいかに使うかということに尽きるのだと思う。私の場合は、どこへ行くにしてもなるべく1本のレンズで済ませたいし、被写体に近づくのは面倒で遠くから望遠で済ませたい方なので、そういう人物にはこの18−400mmの魅力には抗い難い。反面、ソニーα9の連写機能は、高速で飛んでいる飛行機や演技中のフィギュア・スケートを撮るにはよいが、私が好む被写体にはそういうものはほとんどないから、α9はオーバースペックとなる。

早いテンポでダンスをするモデルさん


 そういうことで、意外なことに、見本市の最初の段階で、フルサイズのミラーレスの購買意欲をいささか失ってしまった。妙なことになってしまったが、そのまま進んで行くと、本日のお目当てだったソニーのブースがあった。タムロンと同様にモデルさんがいてαシリーズのカメラで撮れるという趣向である。観客に、早いテンポでダンスをするモデルさんや、ぴょんびょん飛び回るスケートボードのお兄さんを撮らせている。いざソニーα9を手に取ってみると、レフ(鏡)がないので当然かもしれないが、シャッターボタンを押したときの軽やかさが気に入った。画質は、今のカメラと比べてみることができないので、よくわからない。ただ、片目にピントを合わせているのは本当で、こんなことまでやるのかと思わず笑ってしまった。隣のセミナー会場では、冬の北欧フィンランドに行った女性写真家(山本まりこさん)の講演をやっていたが、その写真のスライドを見る限りは、細部まで詳細に写り込まれていた。

ぴょんびょん飛び回るスケートボードのお兄さん


 改めてソニーα9を手にしてみると、ボディの重さは435gというから、確かに軽い。しかし、当たり前のことだが、付けるレンズが重いと、そのボディーの軽さが帳消しになることが良くわかった。ソニーはフルサイズのミラーレスで他社を5年も先行しているので、ミラーレス専用のレンズはもう28種類(Eマウント、35mmのみ)にも上っていて、他社を圧倒している。ちなみにミラーレスは、レフ(鏡)がないだけに、その分、専用レンズの開発の余地がある。ラインナップされている超望遠レンズの中には、最大の望遠端が400mmというものがあるのだけれど、そのFE 100mm-400mmは、残念ながら重さ1.5kgで32万円もする。つまりα9のボディーの3倍の重さで値段はほぼ同額だというのだから、それだけの投資をする気にはなかなかならない。

キヤノンのミラーレスEOS RP


 次に、キヤノンのミラーレスEOS RPを手にした。キヤノンとしては初めてのミラーレスである。その市場が急速に伸びて既存の一眼レフ市場が落ち込み始めたから慌てて出したのか、それとも無理矢理出さざるを得なくなったのかはよくわからない。手に取ったところ、ともかく軽いの一言だ。485gと、ペットボトルより軽いし、なるほど宣伝文句にあるようにA6の文庫本のサイズより小さいというから、まあ頑張って作ったというべきか。もっとも、肝心の画質がどうなのかは、外形からはわからないし、とりわけ優れているという説明も見当たらなかった。1秒間の連続撮影枚数も、私のEOS70Dですら7枚だというのに、5枚に過ぎない。まだまだ発展途上という印象を受ける。発売されたばかりなのでやむを得ないが、ソニー・アルファ・シリーズの蓄積に追い付くのには、少し時間がかかるかもしれない。

ニコンのミラーレスZ7


 ニコンのミラーレスZ7については、手に持つとずっしりくると思ったら、675gと、かなり重い。1秒間の連続撮影枚数は7枚だ。画質はよくわからない。記録媒体がXQDカード一本というのが、素人カメラマンとしては気に入らない。手持ちのSDメモリカードが使えないばかりか、読み出すのにわざわざカード・リーダーが必要となるからだ。プロならともかく、素人なら高速SDカードで十分だと思うのだけれど、このあたりが、将来の劣勢につながらなければよいと願うばかりだが、果たしてどうなるか。

パナソニックのブース


 パナソニックのブースでは、今月下旬に発売予定の画像素子(センサー)がフルサイズのミラーレス、LUMIX S1Rがあった。いよいよマイクロフォーサーズから脱却するらしい。結構なことだ。しかもライカレンズのLマウントを採用したから、その本気度がわかる。記録媒体がXQDカードとSDメモリカードのダブルスロットというので、やや心が動いた。

 オリンパスのブースを覗いたが、こちらは相変わらずマイクロフォーサーズ規格である。私には非常に懐かしい。もっとも現在の主力機種は、かつてのペン・シリーズからOMーDシリーズへと移したようで、小型軽量、防塵防滴、耐低温を売り物にしている。私もかつてペン・シリーズを2機種使ったから、ノスタルジーを感じる。でも、今日のように電子技術が進歩すると、画像素子(センサー)が小さいというのは致命的な欠点である。昼間の太陽の下での撮影ならAPS−Cやフルサイズとの違いはさほど目立たないが、夕暮れや夜間などの厳しい条件下での撮影では、子供と大人ほどの差が出てしまった。そういう点は、このOMーDシリーズでは解消されたのだろうか。いささか気になるところである。
(後日談1を参照)

 富士フイルムのブースに行ったが、こちらはかなりユニークなメーカーで、プロ向けにGFX 50Sという「フルサイズ」(35mm)どころか更にその上の「中判」(43.8mm x 32.9mmで、35mmの1.7倍)というミラーレスを売っている。そうかと思えば、素人の愛好家向けの小型軽量モデルも売るという幅の広い製品群を擁している。一説によれば同社のカメラは画像エンジンが良いので色の発色が美しいとか、いやいやオートフォーカスが弱いとか、バッテリーが長持ちしないとか言われている。今回、それを確かめようと近づこうとしたら、大混乱の様を呈していたので、やめてしまった。会場の整理に当たっている係員がもう少し上手にやればいいのにと思うほどだった。だから、それらが本当かどうかを確かめる術がなくなった。

ケンコーのPLフィルターのブース


 そのほか、ケンコーのブースでは、大きな収穫があった。「PL(偏向)フィルターの達人」という人がいたので、日頃の質問をぶつけてみた。

「お宅のPLフィルターを持っているのですが、撮るときにレンズ先端の花形フードが邪魔をして、上手く回せないのです。指をフィルターに直接当てて、それで回すのですかね。その被写体によってフィルターを回す角度がそれぞれ違うから、どうしても撮る直前に回さないといけない。しかし、その度にいちいちフードを取り外すのも面倒ですよね。皆さん、どうしていますか?」

達人「いえいえ、そのように指を使うと、レンズが汚れてしまうので、やはりフードを取り去って、回すしかないでしょう。フードによっては、フィルターを回せるように隙間があけられている製品もあるから、各社のカタログを取り寄せてみたらいかがですか。」

 なるほど、そうしてみようと思う。私は桜などが水面に写る写真を撮るのが好きだが、PLフィルターを使えば、空も水面も青さが際立つ。もっと活用したいと思っている。

 次に、ND(減光)フィルターの達人という人がいた。先日、友人である写真家が、私に「NDフィルターを使ったらいいよ。」と言ってくれたが、その時はあまり気にも止めなかった。だからどういう機能のものか全く知識がない。よい機会なので、教えてもらった。例えば水の流れを撮るとき、スローシャッターにして水があたかも絹布のように滑らかに見えるように撮る技法があるが、そうすると取り込む光の量が多くなり過ぎて細かなところが白く潰れたりする。NDフィルターはそういう場合に光量を絞る効果があるという。あるいは、花火を撮るときに光量オーバーになって白く潰れたようになるが、その場合にも効果があるとのこと。いずれも、非常に勉強になった。


超小型カメラ「ミゼット」


ピストルの形をしたカメラ


 このCP+(シーピープラス)2019 には、特別協力という形で日本カメラ博物館が参加しているが、そこで見た超小型カメラ「ミゼット」は、私が神戸でまだ小学1年生だった頃に使っていたカメラによく似ていて、非常に懐かしかった。実際にこれで撮った写真を未だに持っている。その他、バービー人形やピストルの形をしたカメラがあったとは知らなかった。特にバービー人形は、胸の中央のダイヤモンドのような飾りがカメラのレンズだというので、これまた笑ってしまった。

バービー人形型カメラ





3.横浜をぶらっと散歩

 そういうことで、パシフィコ横浜の会場を後にして帰ろうとしたが、冬にしては気温が10度と、暖かい方なので、ぶらっと散歩することにした。まずは、クイーンズスクエアの3連棟の建物の2階部分を抜ける。もうお昼時なので、どこか適当なレストランがあれば入るつもりだったが、どのレストランも長蛇の列を作っている。土曜日だから仕方がない。更に進んで、ランドマーク・タワーに入ると、こちらはそれほどではない。どこかないかと思っていたら、名古屋発祥のコメダ珈琲店があった。

 これは久しぶりとばかりに入り、定番の小倉サンドにサラダと紅茶を注文した。小倉サンドは厚切りかどうかを聞かれたので、普通のをお願いしたら、それでも持ってきてもらったものを見ると、いやまあ凄い量だ。これだけ食べるなら、かなり歩かないといけないと思いつつ、パクパクとみな食べてしまった。


大規模修繕中の帆船日本丸


 これで腹ごしらえは終わり、店を出た。動く歩道の脇道を歩き、帆船日本丸を撮ろうとしたが、残念なことに、ただいま大規模修繕中で、マストはオレンジ色に塗られ、船体は四角く囲われている。船が入っているドックの水まで抜かれていた。なお、2019年中に行われる帆船日本丸の総帆展帆スケジュールというのがあった。つまり、日本丸の帆を広げる予定日だ。さぞかし帆船らしくなるだろう。その日にまた来て、撮ってみようと思う。

水陸両用バス


 日本丸のところまで降りて、ドックを半周して汽車道の方に向かおうとしたら、水陸両用バスがあった。ちょうど出るところだった。大人1人が3,500円とのこと。いささか強気過ぎるのではないか。それでも座席は、8割ほど埋まっていた。

教会風の建物


結婚式に向かう新郎新婦が運河に添って歩く


 汽車道を赤煉瓦倉庫の方に向かい、港三号橋梁を渡る。海風がやや冷たい。歩く途中の運河の向こうにある教会風の建物では、ファンファーレが鳴ったかと思うと、メンデルスゾーンの結婚行進曲が聞こえてきた。そちらに目をやると、結婚式に向かう新郎新婦が運河に添って歩いていて、皆が満面の笑みで祝福している。新郎は嬉しくて仕方がないという表情だし、新婦はその弾むような歩き方からして、これまた幸せいっぱいだ。これは良いものを観た。どうかこの幸せが、一生続きますようにと、お祈りをしておいた。それにしても、この地区は、夜になると色とりどりのネオンが溢れるようにあって、前衛的な建物、大観覧車、運河を行く船など、被写体に事欠かない。

NAVIOS横浜


 運河を渡り終えると、左手にはワールドポーターズ、正面にはまるで風水で穴が空いたようなNAVIOS横浜(横浜国際船員センター。ホテル)である。そのHPによれば、なぜこのような形にしているかという質問に対して、「『凱旋門のような形』をしているナビオス横浜ですが、実は凱旋門がモチーフではありません。ナビオス横浜は1999年10月に竣工しておりますが、建築の際の構想として、遊歩道である『汽車道』の一環として建築されました。あのような形は実は『絵画の額』がモチーフとなっており、汽車道に立ち、みなとみらいを背にしてナビオス横浜を覗くとベイブリッジ・赤レンガ倉庫といった『旧き良き横濱』の景色が、また赤レンガ倉庫を背にしてナビオス横浜を覗くとランドマークタワーといった『新しいヨコハマ』の景色がまるで絵画のように見えるように設計されています。」とのこと。でも、香港から来た観光客は、どう見ても風水の影響だと思うだろう。

 赤煉瓦倉庫に着くと、2棟のうちひとつは大規模修繕中である。その前にたくさんのテントが並んでいると思ったら、全てパン屋さんで、入り口ではそれぞれの店が売り切れそうかどうかがわかる一覧表まであった。そこから大桟橋の方を望むと、大きな豪華客船が停泊している。これは、行って見なければ。


ダイヤモンド・プリンセス


 象の鼻パークを経由して、大桟橋に向かう。近づくと、豪華客船は「ダイヤモンド・プリンセス」だった。そう、三菱重工業長崎造船所で建造中に火災を起こし、大赤字の原因となったいわくつきの船だ。もっとも、この船自体は、別名で同時に建造中だった姉妹船を転用したものだから、実は関係はない。その後は、無事に運行されているようだから、慶賀の至りである。内部を見ることはもちろんできなかったが、外から見る限りでは、個々の部屋のベランダに二脚の椅子があるなど、まるでマンションにエンジンを載せて動かしているかの如くである。(後日談2を参照)



キング(神奈川県庁)


クイーン(横浜税関)


ジャック(開港記念会館)


 さて、そろそろ帰るとしよう。地図を見ると今居る所は、昔、横浜に入港する船員が目印とした3つの塔、キング(神奈川県庁)、クイーン(横浜税関)、ジャック(開港記念会館)が近い。せっかくだから、その写真を撮ってこようとした。まずはクイーンだが、運悪く逆光だ。そこでキングの裏手に回って何とかとらえた。ただし背景にビルがあって、構図としてはあまりよろしくない。そのキングだが、これも逆光気味だったけれども、裏手に回る途中、少し左手に動いたのでその位置で撮った。最後にジャックに近づいて行ったら、残念なことにただいま大規模修繕中で、塔の先端だけが出ている。それをなんとか撮って、みなとみらい線の日本大通り駅から帰路に着いた。本日はかなり歩き、帰ってみれば1万6千歩と、本年の新記録となった。



  【後日談】デジタル一眼カメラ販売ランキング

 ヨドバシカメラ1社の販売統計であるが、2019年2月16日から2月28日までの間のデジタル一眼カメラ販売ランキングを見ると、売れ筋の第1位は、意外と言ったら失礼かもしれないが、オリンパス製の縦位置グリップ一体型のプロフェッショナルモデル(OM-D E-M1X ボディ)だった。2月22日に発売されたばかりの約35万円のカメラである。ということは、カメラマニアの間の評価が非常に高いらしい。そのHPでの説明によると、「小型で軽量、高画質を実現する『マイクロフォーサーズシステム規格』準拠のミラーレス一眼カメラです。縦位置グリップ一体構造を採用し、安定したホールディング性、高い操作性を実現。さらに約7.5段分の手ぶれ補正能力も備え、夜間や室内での手持ち撮影時の画質がさらに向上、撮影可能なシーンを拡大します。フィッシュアイから超広角、超望遠、マクロまで、高画質で多彩なラインアップのM.ZUIKOレンズ群との組み合わせで、小型・軽量・高画質なカメラシステムを実現。スポーツや動物など高い機動性が必要な撮影シーンに特に威力を発揮、一瞬のシャッターチャンスを狙う写真家の信頼に応えるプロフェッショナルモデルです。」というから、かつてのオリンパス・ペンのシリーズとは異なり、夜間や室内での手持ち撮影に十分耐えられるどころか、スポーツや動物などを撮影するプロ写真家にも支持されているようだ。これは、オリンパスカメラへの認識を改めなければならない。ちなみに、ランキング上位10位の機種は、次の通りである。

 これらを眺めると、オリンパス以外は、やはり豊富な機種を揃えたソニーの一人勝ちの様相を呈している。私は、当面はタムロンの18−400mmで凌ぐとしても、これから内外を旅行して風景写真を撮る機会が格段に増えるので、早晩、フルサイズのミラーレス一眼を買う時期が来ると思う。その時、ソニーの天下が続いているか、それともキヤノンやニコンがその地力を発揮して追い付いてくるかがまだ見えてこない。それ次第で、どのメーカーのカメラにするかを決めようと思う。現在の延長線上では、レンズ資産を少しは持っているのでキヤノンのカメラということになるが、良いミラーレスが発売されていなかったり、あるいはそのレンズ資産が使えないのであれば、いっそのことソニーのαシリーズにするという手もある。近い将来の悩みどころはであるが、楽しい選択でもある。


第1位 オリンパス OM-D E-M1X ボディ

第2位 ソニー α7 III ボディ

第3位 ニコン Z 6 キット(ボディ+NIKKOR Z 24-70mm f/4 S+マウントアダプターFTZ)

第4位 キヤノン EOS R ボディ

第5位 ソニー α7R III ボディ

第6位 ソニー α7 III レンズキット(ボディ+FE 28-70mm F3.5-5.6 OSS)

第7位 ソニー α6400 ダブルズームレンズキット(ボディ+E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS+E 55-210mm F4.5-6.3 OSS )

第8位 ニコン D5600 ダブルズームキット(ボディ+AF-P DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR+AF-P DX NIKKOR 70-300mm f/4.5-6.3G ED VR)

第9位 ソニー α6400 高倍率ズームレンズキット(ボディ+E 18-135mm F3.5-5.6 OSS)

第10位 ソニー α6400 パワーズームレンズキット(ボディ+E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS → 3月9日には、これがミラーレス一眼カメラ販売の第1位となる。



【後日談2】ダイヤモンド・プリンセス号と新型コロナウイルス

 クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」は、三菱重工長崎造船所で建造され、船籍はイギリス、乗客定員は2,706人、全長は290m、巡航速度は22ノット(時速41km)の豪華客船である。2020年1月から2月にかけて、この船をめぐり、新型コロナウイルスの大規模感染事例が起こった。その頃、新型コロナウイルスは、中国の武漢を中心に蔓延の兆しを見せていて、諸外国が見守る中、横浜に寄港して、日本の当局による検疫を受けた。国立感染症研究所の現場報告によれば、背景は、次の通りである(2020年2月19日掲載)。

 「クルーズ船ダイアモンドプリンセス号(以下クルーズ船)は、2020年1月20日、横浜港を出発し、鹿児島、香港、ベトナム、台湾、および沖縄に立ち寄り、2月3日に横浜港に帰港した。この航行中の1月25日に香港で下船した乗客が、1月23日から咳をみとめ、1月30日に発熱し、2月1日に新型コロナウイルス陽性であることが確認された。そのため、日本政府は2月3日横浜港に入港したクルーズ船に対し、その乗員乗客の下船を許可しなかった。2月3日からの2日間、全乗員乗客の健康診断が検疫官により行われ、症状のある人、およびその濃厚接触者から新型コロナウイルスの検査実施のために咽頭ぬぐい液が採取された。2月5日に検査結果よりCOVID-19陽性者が確認されたことから、クルーズ船に対して同日午前7時より14日間の検疫が開始された。この時点でクルーズ船には、乗客2,666人、乗員1,045人、合計3,711人が乗船していた。」

 結局、クルーズ船では、712人の感染が確認され、13人が死亡した。残る659人は退院が確認されている(ただし、外国人旅行者で、それぞれの国に帰国してからの感染者や死亡者は、含まれていない)。これが新型コロナウイルスが猛威をふるうほんの初期の段階で、それ以降、日本国内では170万人が感染して1万7,700人が死亡し、世界では2億3,500万人が感染して480万人が死亡している(2021年10月5日現在)。このパンデミックが、いつどのような形で収まるのか、誰にもわからない。
(注)新型コロナウイルス緊急事態宣言を参照。








(平成31年3月2日著。9日追加)
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