1.山高神代桜
山梨県北杜市武川町山高に、日蓮宗 大津山 實相寺というお寺がある。そこに咲いているのが「山高神代桜」で、岐阜の薄墨桜、福島の三春桜と並ぶ日本三大桜の一つとされている。山高神代桜は、大正時代に天然記念物に指定され、樹齢が1,800歳とも、2,000歳ともいわれる日本一の古木のエドヒガン桜である。我ながら物好きだと思いつつも、これをわざわざ見に行った。
實相寺は小高い丘の上にあり、チューリップやラッパ水仙が咲く花畑越しに、樹齢50年から100年の桜の木々があり、ちょうど訪れたその日あたりが満開の日だった。そこを通り抜けると、お寺のお堂があり、さらにその先に、山高神代桜がある。幹の周りが13.5mもあり、かつては枝も広がっていたらしいが、今ではかなり縮小しているそうだ。ただ、最近は樹勢が衰退気味だったので、ご住職たちが頑張って、少し回復の方向にあるらしい。
さて、その山高神代桜だが、2,000歳とは思えないほど元気で、青空の下でピンク色が濃い花を咲かせている。本当にそれほどの年なのかと思うほど、まだ艶すら感じられる桜である。時間があれば、この木を前にして長い時間、瞑想したいと思ったほどだ。それにしても、この桜は、こうした風景を健気にも、2,000年間も毎年続けてきたかと思うと、神々しい感じすらする。ともあれ、日本の宝を見たような、とても幸せな気分で帰ってきた。
2.身延山久遠寺の枝垂れ桜
山梨県の日蓮宗総本山身延山久遠寺にある400歳になるという枝垂れ桜を見に行った。これも、長年撮りたかった桜だが、これまではどうも開花時期がずれていて、行けなかった。ところが、今年は木曽御柱祭と重なって土曜日に行けることがわかり、実際に行ってみたら、幸いにして、ちょうど満開のときだった。
バスを降り、五重塔、本堂と祖師堂の前を通り過ぎ、報恩閣の前にその400歳の枝垂れ桜があった。背はそれほど高くはないが、枝を左右に大きく伸ばして、結構な枝ぶりだ。花の色はやや白っぽいけれども、まあ普通の枝垂れ桜といえる。その左脇に、ややピンク色が強い花があると思ったら、別の木だった。これらの桜の木の足元には池があって、その中では、緋鯉が悠然と泳いでいた。
その他、境内にはあちこちに枝垂れ桜があって、いずれも満開である。特に、御真骨堂と五重塔の脇にあるのが、その形といい花の色といい、本当に素晴らしかった。そうやって眺めているうちに、曇り空から半分くらい青空が顔を出した。それを背景に再び400歳の枝垂れ桜を眺めると、花のピンクが青い空によく映えて、うっとりするほど美しかった。
(平成28年4月2日著)
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