悠々人生のエッセイ








ジャパン・パレード( 写 真 )は、こちらから。

 10月9日から144日まで、東京でIMF世界銀行年次総会が開催された。会場は有楽町の東京国際フォーラムと日比谷の帝国ホテルである。世界188ヵ国から公式・非公式の参加者が計3万人とされる世界最大規模の国際会議だという。ちなみに日本銀行はそのHPで「IMF世界銀行年次総会とは、国際通貨基金(IMF)と世界銀行、それぞれの最高意思決定機関である総務会が、毎年秋に合同で開催する会議です。総会は3年に1度、IMFと世銀の所在地であるワシントン以外で開催することが通例となっています。2012年の年次総会は、東京で開催されます。日本での開催は1964年以来2度目、また2012年は日本がIMF・世銀に加盟して60年目の節目にあたります。総会には世界中の財務大臣・中央銀行総裁等が参加するため、主要会議のほかに数多くの二国間会談や通例、G7、G20、G24、G10、コモンウェルス大臣会合等の会議、各種イベントが開催されます。また、大臣や政府幹部だけではなく、金融関係者、報道関係者、CSO(Civil Society Organizations)関係者等、民間セクターからも多くの人が集まり、セミナーやシンポジウムが開催され、対話とネットワークの機会が提供されます。期間中は大小約200の会議・イベントが開催されます。公式参加者が1万人、非公式の参加者を含めれば2万人とも言われる、世界最大規模の国際会議です」と書いている。

 約3万人というその参加者数の多さから、これを日本を世界の人々に知ってもらう好機だとして、丸の内を中心に、あちこちでイベントが繰り広げられた。なかでも張り切っていたのは、観光庁と、丸の内の大家と評される三菱地所である。丸の内仲通りには、例年より1ヵ月早く冬のイルミネーションを点灯して歩行者天国とし、街路樹をシャンパンゴールド色に彩り、そこを舞台に日本各地の観光の魅力を紹介するPRイベント「Japan All In」なる催しを行った。その中心となるのが10月13日夕刻の「ジャパン・パレード」である。これは、ファッションショーから始まって、全国からお祭りやら郷土の伝統芸能やら、もうそれは雑多というほかないほどいろいろな技を披露するパレードである。新聞によると、21団体約600人が参加したそうな。ちなみに私は、いつもの通り、オリンパスE−P3を持ってその様子を撮ろうとした。ところが、何しろこのパレードは午後6時から7時半という暗い時間帯に行われたので、あまり良い写真を撮ることができなかったのは残念である。ともかく、参加者の動きが早すぎて、ブレてしまう。それを防ごうとシャッタースピードをできるだけ遅くし、かつISO感度を上げるのたが、前者をやり過ぎると暗くなり、後者もやり過ぎれば画面がザラ付いてとても見られない写真になる。ともかくカメラは難しい。そこで、ビデオを撮り、むしろこちらが多かったくらいである。そうした中で、ここでは、何とか使い物になると思われる写真だけを掲げてある。それでは、いただいたパンフレットから、パレードが行われた順に挙げていこう。

(1) ファッション・ショー  まず皮切りに、丸の内仲通りをランウェイとして、ファッション・ショーが行われた。最初、通りの暗い照明の脇に、赤青緑などの色の強烈な照明が置かれて、いかにもファッション・ショーらしい雰囲気が醸し出された。ところが、そういう照明では、撮った写真も当然そういう色となる。これは困ったと思ったものの、どうしようもない。しかし、始まってからは普通の照明となって、大丈夫であった。ところでこのファッション・ショー、もちろんプロのモデルさんたちが出演していたのであるが、それがまさにモデルさんだなとわかる表情、姿勢、態度、歩き方である。まず表情としては、能面のような顔つきをする。たまに笑みを浮かべる人もいるが、そうすると観客の注目はその人物の顔に集まってしまって、肝心の着ている服には集まらないから、そういうことなんだろう。姿勢は、我々のような直立不動の形や、その逆のダラーッとした脱力姿勢はとらない。どこか不自然な固まった姿勢をしている。それが何なのだろうと以前から思っていたが、この日は、それは陸上でいえばいわばマラソンのスタート時の姿勢に似ていると気が付いた。「よーい」と言われてやや斜めを向いて構える、そのときの姿勢にそっくりだと思う。最後に歩き方は、素人は絶対にこのようなことはしないと断言できる歩き方だ。まず、目線はあくまで水平線と並行、胸は突き出し、腰はゆらゆらと揺らすような感じである。この日のモデルさんたちも、そういう感じだった。


ファッション・ショー


(2) 祇園の舞妓  人力車に乗って、二人の京都祇園の舞妓さんが優雅に登場した。説明では「年間五千万人もの方々が訪れ、四季折々の美しい自然、寺院、神社、京町屋などの趣深い町並みが多くの人を魅了し続ける京都」というわけで、実は私も家内も、それにどっぷりと浸かっている。

祇園の舞妓


(3) 徳島県/高円寺阿波踊り  次に現れたのが、阿波踊りの一行だ。女性はピンクの浴衣に網笠を深く被り下駄を履いている。「あ、えらいやっちゃ、えらいやっちゃ、ヨイヨイヨイヨイーっ」で始まるテンポの良いリズムに乗って踊り出す。女性は優雅に、男性は中腰になって手降り足を曲げ、にこやかな表情で踊っている。ああ、いいものだ。説明では「『阿波踊り』は、徳島県を発祥地とする約400年の歴史を持つ日本三大盆踊りのひとつ。徳島に次ぐ歴史と規模を誇る『天翔連(東京高円寺)が太鼓や三味線、笛などの日本楽器の生演奏に合わせて賑やかに踊ります」とのこと。ちなみに東京の高円寺での阿波踊りの歴史は、もう50数年だそうだ。

徳島県/高円寺阿波踊り


徳島県/高円寺阿波踊り


(4) 沖縄エイサー  いやいや、勇ましいったらないと思うのがこの沖縄エイサー集団で、鉢巻をまいた頭に、赤の縁取りのある黄色い上着を着て、黒いズボンに白い靴、それに独特のリズムで太鼓をたたく。いつ見ても、これは凄いと感心する。本州の田舎の、(やや語弊があるが)陰気な感じすら受ける盆踊りとは大きな違いで、いかにも南国の楽しさに溢れている伝統舞踊だ。説明では「『エイサー』は、沖縄県でお盆の時期に踊られる伝統芸能。伝統的なエイサーで使用される古典曲に加え、沖縄のロックやポップスも取り入れる創作エイサー団体『琉球舞団・昇龍祭太鼓』による独創的なパフォーマンスをお楽しみください」とある。ああ、だから音楽も少し変わっていると感じたのかと納得した。おおっと・・・白いカラフルな獅子が近づいてきた。ああっと思ったら、私の前に座っているおばさんの頭をガブリっと噛みついた。おお、結構、乱暴物なんだ。

沖縄エイサー


(5) 秋田なまはげ  「悪い子は、いがねぇがぁー」という声が通りいっぱいに響き渡り、何だろうと観客が振り返ったところに、赤と青の鬼の面を着けたなまはげが登場した。太鼓叩きを引き連れている。ときおり、キッとあたりを睨むを仕草が実に様になっている。なまはげそのものの着ぐるみは、寒くなると上野松坂屋に置いてあるから知っているが、私は実際に動いているなまはげを見たことがないので、感激した。でも、秋田の子供たちは、怖いと思うだろうなぁ。うちの初孫ちゃんも、これを見たら直ぐに泣き出しそうだ。説明では「なまはげは、怠け心を戒め、無病息災、豊作豊漁をもたらす来訪神。毎年大晦日に秋田県で行われる伝統的な民俗行事です。その昔は、小正月に行われていました」とある。  

秋田なまはげ


(6) 千代田区民踊連盟  浴衣姿のご年配のご婦人方たちが勢ぞろいして、何だろうと思ったら、「ハァーっ 踊り踊るなら チョイト東京音頭 ヨイヨイ 花の都の 花の都の真中で・・・」という私にとって懐かしい東京音頭が聞こえてきて、踊りが始まった。毎年8月になると、日比谷公園の盆踊り大会でやっているあの踊りである。実は私も東京に長いから、踊り方を知っているのが、ちょっと恥ずかしい。

千代田区民踊連盟


(7) 高山祭闘鶏楽  2本の赤い長い旗が上がり、白い文字が書かれている。何だろうとそれを読むと、「飛騨高山」、「山王闘鶏」とある。それに続くのは江戸時代の裃を付けて笠を被った武士姿の人たちだ。これはわからないので説明を読むと「国重要無形文化財の高山祭は日本三大美祭のひとつ。闘鶏楽は、鳳凰の衣装で鉦を打ち鳴らす祭を彩る伝統芸能で、片野組闘鶏楽は、春の高山祭で奉納されます。衣装の梅小鉢は、高山城主金森氏から使用を許された家紋で、歴史の深さを物語ります」とされる。チーン、チーンという鉦の音が聞こえてきて、ああ、確かに派手な衣装・・・これが鳳凰か・・・を着た人たちが、ゆっくり歩いてきた。この一行が高山の田舎道を行く風景が目に浮かぶ。とりわけあのカン高い鉦の音によって、異次元の世界に引き込まれていくかようだ。不思議な日本を見た思いである。

高山祭闘鶏楽


(8) 千葉県成田・おどり花見  その一行の後には、今度は打って変わって、まるでドラえもんのようなキャラクターが出てきた。何だこれと思ってよくみると、両手の下にまるでジェット機のエンジンの吸い込み口のようなものがある。先頭の旗を見ると、「成田市観光キャラクター、うなりくん」とある。彦根のひこにゃんを真似たご当地キャラクターのようだ。でも可愛いというよりは、いささか浮き上がっている気がしないではない。そのキャラクターに続くのが、鶯色の浴衣を着た奥様方で、説明によるとこちらは「おどり花見」といって、「神仏をなぐさめ、悪疫退散を祈り、五穀豊穣を願うこの踊りは、約300年前の元禄年間頃から行われており、千葉県指定文化財に指定されます。毎年4月3日、三宮埴生神社を出発点とし、町内の神社や仏堂16ヶ所を回ります」とのこと。

千葉県成田


千葉県おどり花見


(9) 福島わらじ祭り  神主さんと、赤い天狗が先導して、大きな太鼓が来たかと思うと、何やら平らで大きなものをたくさんの人たちが重そうに担いできた。私は道端に他の人たちとともに腰を下ろしているので、目線が低くて、その平らで大きなものが何かはよくわからない。説明によるとこれは「日本一と言われている羽黒神社の大わらじ(長さ12m、重さ2t)の伝統を守り、毎年8月に行われる夏祭り。健脚を願って奉納する『暁まいり』(2月)が由来。大わらじのパレードのほか、『わらじおどり』や『わらじ競走』なども行われる」という。

福島わらじ祭り


福島わらじ祭り


(10) よさこいK-one動流夢  赤が主体の派手な衣装のチームが出てきた。よさこいチームで、K-one動流夢(ケーワンドリーム)といって、横浜を中心に活動しているそうだ。活発に踊り始めたが、その踊りの勢いが激しすぎるので、とてもカメラで追い切れなかった。元気でよろしい。最後に登場した旗振りは、2本の旗を操っている。すごい。

よさこいケーワンドリーム


よさこいケーワンドリーム


(11) 新潟県鬼太鼓  あらら、また赤鬼と青鬼の出現だ。説明によると「『鬼太鼓』は、五穀豊穣や家内安全を祈願し、家々の厄を払いながら門付けを行う新潟県佐渡島を代表する伝統芸能。起源は諸説あり、佐渡金山で働く人々がタガネを手に舞ったのが始まりとも言われています。現在は、約120組の鬼太鼓が存在します」という。

新潟県鬼太鼓


(12) 今戎神社の福娘  ああ、今度は神社の可愛い巫女さんたちだ。大阪市の今戎神社の皆さんらしい。説明は「『福娘』とは、毎年1月9日〜11日に執り行われる『十日戎』と呼ばれる大祭で神社にご奉仕されている巫女さんのこと。米俵や小判、鯛などの小宝を新しい笹に付けることで、訪れる人々に幸福や成功をもたらすと信じられている」としている。

今戎神社の福娘


(13) 浅草阿波踊り  台東区の浅草阿波踊り「浅草橋連」で、なかなか品の良い阿波踊りだった。結成は、平成23年11月とのこと。まだ、1年も経っていない新しい連である。

浅草阿波踊り


(14) 風樂會X元気ジャパン  次は、お御輿をかつぐ元気な集団である。説明によると「『風樂會』は、神輿から日本文化を発信するために発足した団体・・・今回は元気ジャパンと連携」するという。ワッショイ、ワッショイと、ものすごい勢いでお御輿を担いでいった。

風樂會X元気ジャパン


(15) たいとう音頭踊り隊  和服の男女が紅白のねじり模様の棒をそれぞれ1本ずつ両手にもって、台東区の公式音頭という踊りを始めた。

たいとう音頭踊り隊


(16) 日向ひょっとこ踊り  ああ、これは面白い。いろんな表情をしたひょっとこ、おかめが、剽軽な姿で可笑しい踊りをする。観客は、大喜びだ。説明には「『日向ひょっとこ踊り』は、宮崎県日向市の郷土芸能です。毎年恒例の夏祭りでは、豆絞りの手拭いをかぶったキツネ、オカメ、ひょっとこが、笛、鐘、太鼓の軽快なリズムに合わせてコミカルに踊り、観客に笑いを振りまきます」とある。

日向ひょっとこ踊り


(17) 仙台すずめ踊り  宮城県の宮崎大学娘すずめの皆さんで、カラフルな特徴的な衣装を着て、これまた色物の扇子をひらひらさせている。説明では「仙台すずめ踊りは伊達政宗公による仙台城移徒式の宴席で、石工たちが即興披露した踊りが起源と言われています。踊る姿が雀に似ていることから名付けられました。戦後途絶えかけた伝統が400年の歳月を経て甦り、仙台からの復興の力と元気を発信します」となっている。

仙台すずめ踊り


(18) 梅后流江戸芸かっぽれ  東京で、梅后流江戸芸かっぽれを知らないと、常識を疑われるほど、あちこちの祭りやパレードに出てくる常連の団体である。いずれも、かなりのお年を召した方々ばかりだが、それにしても、楽しそうにキビキビと上手に踊るものだと、いつも感心している。

梅后流江戸芸かっぽれ


(19) 夜桜乱舞静岡祭り  これは、わざわざ静岡からおいでになった、女性ばかりの、よさこいチームのようだ。説明では「1996年の40周年を機に、『見る』祭りから『参加する』祭りへと生まれ変わった静岡祭り。従来の『ちゃっきり節』と『さくらさくら』をアップテンポにアレンジし、『夜桜乱舞』と命名。今回のパレードでは、ジャズダンスバージョンを披露します」とある。確かに音楽は、良く聞いていると「歌はちゃっきり節〜〜」と聞こえてくるが、その割には踊っているダンスが妙にアメリカ的で、ブロードウェイでもかくありなんというもので、そのアンバランスに、眼がくらみそうになる。おっと、いやいや、ここは日本なのだ。

夜桜乱舞静岡祭り


(20) キモノプロジェクトと武楽座  男女も年齢も問わない人たちが出てきた何だろうと思うと「着物の普及を願い、着物を着る粋な機会を幅広く提供する『キモノプロジェクト』と、『武の美』をテーマに、武道や伝統芸能に現代の音楽、光や映像を組み合わせた総合芸術エンターテインメント集団『武楽座』のコラボレーションは必須です」とあるが、残念ながら、私のいる位置のもっと前の方から出発してしまって、そのパフォーマンスを十分に見ることは出来なかった。

キモノプロジェクトと武楽座


(21) 山形花笠踊り  これはいうまでもなく、東北四大祭り(秋田の竿灯、青森のねぶた、仙台七夕)のひとつで、毎年8月5〜7日に山形市で開催される。説明では「山形県の花『紅花』をあしらった笠や、華やかな山車が夏の夜を鮮やかに彩ります」としている。

山形花笠踊り


(22) 高知県よさこい踊り  よさこい踊りの本場の高知県から、「ドリーム夜さ来い祭り オフィシャルチーム」がやってきた。チンチン、ドンドンというお囃子に合わせて、実に軽快というか華麗というか。舞うように踊っていて、本当に素晴らしい。

高知県よさこい踊り


(23) 丸ビルで地方展とSake Bar  今回の「Japan All In」では、三菱地所が頑張っていて、その代表的な持ちビルである丸ビルの1階では、日本各地の名産・特産品を集めたマーケットや、それに全国の銘酒を味わえるSake Barを開いていた。

丸ビルで地方展とサケ・バー







(平成24年10月13日著)
(お願い 著作権法の観点から無断での転載や引用はご遠慮ください。)





悠々人生・邯鄲の夢





悠々人生のエッセイ

(c) Yama san 2012, All rights reserved