This is my essay.








 最近の情報業界に詳しい人から、サンフランシスコのシリコンバレーに行って、リンデンラボ(Linden Lab)という会社を見てきたときの話を聞いた。その話によると、この会社は3Dのセカンドライフという仮想空間を提供していて、その住人はいまや400万人に達しているという。この空間では、企業が「島」というものを当初20万円、年間維持費用約40万円で購入し、そこにショールームを構築する。IBM、ソニー、コカコーラなど世界の有名企業が競って出店している。ロイターのように支局と駐在員を置いている通信社すらある。

 また個人は、自分がなりたいと思う人間(アバター)に変身する。現実社会で男なのに女になることも別に禁止されているわけではない。リンデンドル………これは普通のドルに換算して決済される(現在のレートは、1ドル=270リンデンドル)………をもってこの街を歩き、土地や建物、商品を売買したり、製品を作って販売したり、それどころか、結婚すらしたりして、自由に気ままに生活してよろしいというのである。つまり、ネット上のまさにセカンドライフ、要は第二の人生というわけである。

 今のところ、意思の表示はキーボード経由だが、そのうちマイクを通してしゃべるようにする予定というので、そうなるとますますリヤル・ライフに近くなる。その場合、男性で女性として登録しているのはどうするのだろうと思ったりするが、まぁ、それはともかくとして、現在の言語は英語だけで、日本語には対応していない。ただいま翻訳作業中とのことである。また、3D技術を多用しているので、特定の場所に人物が集中するとリソースを使いすぎることから、それを防止するような工夫をするとか、いろいろと技術上のノウハウがあるようだ。

 ウェブサイトによると、このリンデンラボは、フィリップ・ローズデールが1999年に設立した会社で、個人が共同でセカンドライフ(Second Life)という3D空間に居住して、彼ら自身が経済活動を行うなどして周りの世界を形造るというコンセプトであるという。今日、この仮想世界に居住する住人の数は、100ヶ国の400万人に達している。

 その経済活動というのが気になるところであるが、リンデンラボ自体は関与せず、あたかも電話会社が電話というインフラを提供するだけで会話の中身までは関与していないように、リンデンラボも、インフラを提供するにとどまるという方針のようである。したがって、たとえば売買契約を結んだ個人同士が契約の履行がされないと主張しても、それに割って入るようなことはせず、現実の世界と同じく、それは当事者同士のが解決すべき問題だというのである。また、セカンドライフ中で取引をしたい者は最初にクレジットカード番号を登録し、したくない者は登録をしなければよいという仕組みである。

 なるほど、ネットの世界はここまで進んでいるのかと、まさに目から鱗が落ちる……我ながら古い表現だと反省するが……思いである。でも、これは自分もその世界の住民にならないとわからないということで、私も登録をしてみることとした。リンデンラボをクリックし、登録を再びクリックすると、画面が出てきた。名前を選べという。それも、名つまりファースト・ネームは自由に選べるが、姓のファースト・ネームは、用意されているものから選べという。その中から日本人の姓は限られていて、どれもこれもピンと来ない。そこで、面倒だからいっそのことわかりやすい姓ということで、「Voom」さんにしようと思ったら、その組み合わせは既に誰かが登録していた。そこで別の姓を選んで……、などとやってようやく気に入ったものが見つかった。

 それから、本当の生年月日を書かされ、国を選びなどと続けていき、クレジットカードは登録せずに飛ばして、ようやくOKとなった。必要なソフトのダウンロードが始まり、さあ走らせようというときである。突然、画面にまがまがしい表示が現れた。それによると、要するに「あなたのコンピューターのグラフィック能力が不足しているので、この3Dソフトは動かせません」ということであった。どうやら、パソコンを買い換えなくてはいけないようだ。それにしても、全く無駄な時間を使ってしまった。悔しいので、この記録を残しておきたい。

 ただ、このセカンドライフ、数年以内に世界的に大ブレイクして、さらにその数年後には、大国家となっているような気がする。そうなると、このネットの仮想空間にも、やはり政府が要るのではないか。それと現実の政府との関係は……うーーむ、何だかややこしいことになってきそうだ。

 ハリウッドの映画なら、スピルバーグの映画でも何にせよ、最近はCGで描かれることがほとんどなので、現実にはありえない世界が繰り広げられる。ところが、映画は映画、単に見るものにとどまり、それ以上のものでは決してない。しかし、このセカンドライフでは、夢の世界で自分が主人公となって生活し、冒険するわけである。そればかりか、リンデンドルと現実のドルとを交換することで、現実の世界との接点がある。しかも、ドイツ在住のアンシー・チェンという女性は、この世界で既に100万ドルもの大金を稼いだという。そしてこれは、ほんの一例だというのである。これは世界中で病みつきになる人が多数出そうな予感がする。

 ちなみに、セカンドライフについては日本語のホームページも用意されていて、その説明は、次のようになっている。

【探検する】驚きと冒険の無限の世界
 エキサイティングな場所やものでいっぱいの3Dリビング ランドスケープを歩く。ネイバーフッド、ショッピング モール、ナイト クラブ、スポーツ アリーナ、教会、図書館、カジノなど、現実世界に存在するあらゆる場所を訪問する。想像の無限宇宙に存在する城、宇宙ステーション、地下牢、西部劇の町、空中都市など、あらゆる場所を冒険する。徒歩、飛行機、電車、空飛ぶ円盤などで移動する。ゴンドラ、燃料噴射方式マッスルカー、ロボット ユニコーン、恐ろしい攻撃艦、巨大カタツムリ、スモッグが噴き出す機械ロボット、スターダストを動力にした魔法のほうき、あるいはあなた自身の力で、すべての住人が本来持っている能力を使って、テレポートや飛行も自由自在です。

【創造する】想像可能なあらゆるものを創る
 キャラクターの姿を変える。架空のスーパーヒーローまたは神話に登場するモンスター、あなた自身の鏡像など、どのようにも変えられます。シンプルかつ高度化した3D クリエーション ツールを使って、現実を変える。 家を建て、家具をデザインし、服や宝飾品、アートを作ります。リンデン スクリプト言語を学んであなたのクリエーションを実現させる。 発射できる武器、空中、陸地、海中を移動できる乗り物、バラエティやジャンルに富んだインワールド ゲームを作ります。住人とリアルタイムでプロジェクトを協働し、都市全体やフル機能のゲームなどを構築する。

【売買する】バーチャル グッズとサービス
 完全な統合経済で、時間と発明に投資する。あなたのビジネスを都市規模の人数の消費者に宣伝し、販売する。リンデン ドルの収入を現実の現金に、またその逆に現金からリンデン ドルに交換する。稼いだお金をインワールド プロジェクト、あるいは現実世界の非営利団体や組織に寄付する。Second Life であげた成果で、すべてまたは部分的な現実世界の生計を立てる。

【つなぐ】新しい出会い、エキサイティングな出会い
 現実世界の人々が織り成す活気にあふれた社会に参加する。日々起こる数々のインワールド イベントで笑いに満ちた時間や楽しいアクティビティを共有する
ナイトクラブで延々と続くパーティ、ファッションショー、アートのオープニング、仮装舞踏会などに参加する。ロマンス、娯楽、利益のためにあなた独自のイベントを催す。恋に落ち、バーチャル サービスで結婚、公式に Second Life のパートナーを指名する。

【プレイ】あらゆるサイズやスタイルのインワールド ゲーム
 ゲーマーにより作られたゲーマーのための数々のインワールド ゲームでマルチプレイヤーやソロプレイに参加する。ファーストパーソン シューティング、ファンタジー RPG、パズル、ストラテジーゲームなど、すべて住人により作られたゲームで、他の住人とプレイする。世界中でアイテムをさがすスカンベンジャーハントで競ったり、住人の誰もがトリガーマン (トリガーウーマン!) かも知れない暗殺ゲームで獲物をハントする。ソロでプレイするボードゲームやストーリーアドベンチャー、賭けなどのカジュアルなソーシャル ゲームを楽しむ。

【所有する】あなた自身の土地、あなた自身の労働や創造性による成果
 土地を購入し、インワールドで作成したあらゆる物を保持する権利を得る。土地を買い、貸し、売る。個人使用または事業、あらゆる種類のプロジェクトのために所有地を開発する。オンライン オークションで不動産を入手する。あなたのインワールド クリエーションの知的財産権を保有する。 あなたの作ったものは、あなたのものです。好きなように使ってください。

  
(出典)セカンドライフの日本語版ホームページより






(平成19年3月22日著)
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